週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
日本では日本ゴルフ協会(JGA)が制定するシステムで公認ハンディを査定している。その基になるのがCRで、これはアマチュアのスクラッチプレーヤーがどの程度のスコアでラウンドできるか数値にしたもの。 ところが、このCRから査定されたハンディは、どこのコースのどのティを使用しようと不変。HC20の人は、CR70のコースでも75の超難コースでもHC20でプレーすることになる。それに対し、ハンディは、難しいコースでは増え、易しいコースでは減るべきだと考えたのが米国ゴルフ協会(USGA)。その発想から1987年にスロープシステムというハンディシステムを考案、今ではすっかり世界標準化している。このSRとは、ハンディを決める際に基準となる、コースの難易度を数値化したものという点では同じだが、USGAが認めた査定員が、40ページにも及ぶ査定マニュアルに従い、各ホール(ティごと)を20項目以上で難易度を評価し、それを基にUSGAが算出する。20項目のなかには「心理的影響」という、微妙ではあるが、確実にプレーに影響するポイントまでも含まれている。ちなみに、SRでは最もタフなコースは155、最も易しいコースは55。査定上の基準となるSRは113とする。 そして、それに基づきUSGAが査定するのはハンディではなく、「ハンディキャップインデックス」という指標である。それを各自、その都度、インデックス÷113×SRの数式により、コースハンディを算出するのだ(通常、コースに対照表が用意されている)。これにより、コースの難易度により増減するハンディシステムとなり、実際には世界中のどのコースの、どのティからプレーしても、それぞれパープレーを目指せるハンディが出るようになった。 このシステム、日本ではまだあまり知られていないが、実は4年前から運用が可能になり、すでに全国約70コースがSRを査定。インデックス取得者も約1万3000人いるという。窓口の(株)JHAでは、「日本のゴルフ場で採用され始めたのは2年前から。最近は認知度の高まりとともに、加速度的にSR査定の申し込みが増えています」(代表取締役・マーク川島氏) アメリカ国籍の川島氏は国内で唯一、SR査定の有資格者。現在、同氏を中心に3人でチームを組み、全国のゴルフ場を忙しく飛び回っているという。それでも査定できる数は限られ、今年末までに100コース。来年末までに200~250コースで目いっぱいと語る。 最近申し込みが急増した背景には、外資系のゴルフ場の増加もあるようだ。普段からSRでプレーする外国人の役員から、「なんでSRがないんだ?」と不思議がられてのことだ。 ただし、査定済みの2~3コースに聞いても、「インデックスを申し込まれるメンバーさんはまだ数人です。でも、認知度が上がれば、確実に増えると思います」とのこと。インデックス取得には入会金3500円と月650円の会費が必要ということもネックとなっているようだ(申込み窓口はJHA、もしくはSR取得コース)。 今年初めにSRを取得した昭和の森GC(東京)では「いずれ国内でもっと広まれば、複数のコースと協力して、一斉に行うコンペなどを企画したい」(広報担当者)と将来性を見越す一方、別のゴルフ場の支配人からは、「JGAハンディと異なる方式なので、JGAに気兼ねして思い切った宣伝を躊躇しています。今はSRが広がるのを待っている段階」と語る。 最近の外資系コース急増の影響が、意外なところまで及んでいるようだ。