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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/31
2004年更新
異例! 地裁で認可済みの鹿島の杜CCの
民事再生計画案を高裁が否決、なぜ?
 債権者集会を経て可決され、東京地裁が認可決定を出した再生計画案に対し、東京高裁がノーを突きつけるという前代未聞の“事件”が起きた。これが通ってしまうと、今主流の民事再生によるゴルフ場再建というシナリオが崩されかねないと、ゴルフ業界関係者の間で注目を集めている。

 今回の舞台は鹿島の杜CC(茨城)の経営会社である(株)鹿島の杜カントリー倶楽部(以下、鹿島の杜)。過去、経営陣による多額の使い込みや、工事代金の不払を原因とする、施工業者・東海興業によるロックアウトなど、数多くのトラブルを抱えてきたコースである。

 東海興業から未払いの工事代金債権を米国の投資ファンド・サーベラスが買い取り、ゴルフ場経営コンサルタントである國島吾郎氏ら新経営陣が入って民事再生手続きの開始を申し立てたのが昨年7月。一般債権者、退会会員ともに、1000万円以上の大口債権者は返済率0.2パーセント、継続会員は返済率60パーセントで10年据え置き後、抽選償還を骨子とする再生計画案が紆余曲折を経て作成され、可決されたのが今年2月。しかし、大口債権者であるRCC(整理回収機構)はこの計画に反対、集会後には意見書も提出していたため、東京地裁は集会後即日ではなく、1週間後に認可決定を下した。

 しかしそこへ「待った」をかけたのが、鹿島の杜に対し、再生債権総額の17パーセントにあたる86億円の債権を持つ(株)鶴亀など2社。再生法や更生法、破産法では、地裁が下した決定に不満がある場合、利害関係者が高裁に申し立てることができる「即時抗告」制度を使ったのである。

 高裁が下した不認可の理由はRCCの意見書の中身ともほぼ同じで、「この再生計画は債権者平等の原則に反する」という点に絞られる。ポイントは2点で、ひとつには一般債権者及び退会会員と、継続会員への返済率の開きがあまりにも大きい点。2つ目は、継続会員の間ですら不平等だという点だ。カット率が低い分、残る預託金が多く、抽選償還を受けられるのは年間わずか2~3人で、希望者全員に返すのに100年近くかかる。なかなかあたらない会員は極めて不利だ、というわけだ。

 しかも「一部の法律実務家が(中略)債権者の平等を無視し、より多数の継続会員債権者を優遇し、債権者集会における多数の賛成を得るための誘導工作が不当に行われている疑いが強く、監督委員や再生裁判所が、(中略)債権者平等の原則ないし債権者間の実質的衡平を十分にチェックしていない」とし、再生法担当部署である東京地裁民事20部と、監督委員を非難しているのである。

 ともあれ、このままでは東京地裁から職権で破産宣告を受けてしまうため、会社側では「不認可になった再生手続きを取り下げ、会員や主要大口債権者の同意書を添付して、もう一度再生法を申し立てし直す方針で調整中。計画は継続会員のカット率を大幅に引き上げる代わりに抽選であたる人数を増やす方向で練り直す」(会社側代理人の川端基彦弁護士)と言う。

 地裁が出した認可決定を、高裁が否決した例としては「おそらく今年6月の、JASDAQ上場だった医療機器メーカー・日本コーリンへの決定に次いで2例めで、2いずれも担当は鬼頭季郎裁判長」(倒産法に詳しい弁護士)

 極めて異例のことなので、再生法の出し直しを地裁が受理するかどうかは未知数だが「ダメな場合は会社更生法の申し立ても考える」(川端弁護士)。

 ところで、今回即時抗告の申し立てをした(株)鶴亀代表の上原敏嗣氏は鹿島の杜の元代表でもある。過去の経営陣の使い込みを自ら解明したという自負もあるのだが、破産リスクと背中合わせなのに今回の申立に踏み切った理由は、「サーベラスはコースの競売をしないことを約束した筆頭債権者にすぎず、現経営陣を送り込んだわけでもなければ、追加の資金支援を全面的に約束しているわけでもない。資金力に不安がある現経営陣のもとでの再生では二次倒産もありうる。それなら早く現経営陣から処理を取り上げ、管財人のもとで公明正大な処理に移ることが会員にとって最大のメリット」だと主張、現経営陣への不信感を露わにしている。

 同コース(18H)は今年4~6月で来場者数が1万人を超え、前年同期比4割増。周辺地区13コース中、実質トップと、現在の経営状態は順調なので、当面の運営には支障はなさそうだ。

 いずれにしても処理の長期化が会員にとってマイナスにならないことを願うばかりだ。

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