週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
トーナメントの大会名は「カブドットコム カップ」。オンライン証券の同社がスポンサーになった大会で、実はトーナメント自体もオンラインのゴルフゲーム。つまり、パソコンのモニター画面に向かい、クラブの代わりにマウスを手に、スコアを競うトーナメントだった。 だが、「たかがゲーム」などと、どこかの球団の前オーナーのように軽んじてはいけない。賞金総額、なんと100万円。優勝賞金50万円、2位20万円と高額なのだ。ネット業界の記者も「あらゆるゲームを含め、国内のオンラインのゲームイベントでこれだけ大きな賞金は初めてでしょう」と興奮気味に語る。 今回、競われた「ショットオンライン」というゴルフゲームは、インターネット情報サービス会社のエキサイトが専用サイトで運営しているサービス(無料でプレーできる)で、この6月下旬にスタートさせた。パソコンにソフトをダウンロードし、会員登録すれば、いつでもネットを通じ、見知らぬ相手と本格的なゴルフゲームが楽しめる。 そこがさらに、「ショットオンライン選手権」という競技会を企画。その第1戦が今大会というわけだ。大会は、まず7月26日から1週間、予選ラウンドとしてオンラインでの競技会を開催。その上位8人が東京・恵比寿で顔を合わせ、決勝ラウンドを行った。 競技は9ホールでのストロークプレーを経て、上位2人によるマッチプレー(6ホール)で優勝を争った。その決勝戦、最後はエキストラホールに持ち込まれる大接戦となり、会場は思いのほか興奮に包まれた。といっても、ギャラリーは関係者も含め、30~40人ほどだったので静かなものだが……。 「予選ラウンドの1週間で2000人弱の方が参加されました。当社のゲームサイトには、20万人ほどのアクティブユーザーがおり、多いときには4~5000人が同時に楽しんでいます。そうした状況からすれば、このゴルフゲームももっと参加者が増えると見込んでいます」(エキサイト・エンタテイメント事業部事業部長・坂本孝治氏) そして、今回のような高額大会は難しいとしても、今後もスポンサーと提携し、月1回のペースで競技会イベントを開催する予定という。来月上旬には全日空とのコラボレーションで、全日空オープンの開催コース・札幌GC輪厚コースがゲーム画面に登場。そこを舞台に競技会を行い、優勝者には本当の大会に招待することを企画している。他にも「このゲームは画面のキャラクターを自由に設定できるので、今後はメーカーと提携し、最新のウェアやグッズ、用具を取り込むといったことも考えています」(同オンラインゲーム部部長・黒田英二氏) また、深堀圭一郎、佐藤靖子の両プロと契約、それぞれのスウィング・モーションが近く同ゲーム上で使われることになるそうだ。 ゴルフゲームといえば、シリーズ全4作がいずれもミリオンセラーを記録、昨年から始まったオンライン版もプレーヤー数の登録がすでに12万6000人に達した『みんなのGOLF』(プレイステーション)が有名だが、普段使っているパソコンで同様のゲームが楽しめるこちらにも、今後は関心が集まりそうだ。 ちなみに今大会の決勝進出者8名のうち実際のゴルフ経験者は2人だけ。そのひとりが優勝者の奥村政人さん(42歳)。ゴルフ歴10余年も、腕前は100前後だそうで2年前に手首をケガしたことでリタイア。 「ゴルフの経験はまったく関係ありませんね。勝因は? 勘でしょう(笑)」 また、賞金50万円の遣いみちは? という質問には、「いや、連れてきた娘たちがすぐに女房に知らせたので、女房に取られますよ(笑)」と、コンペの席上でも聞かれそうな笑顔の返事が返ってきた。