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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/21
2004年更新
RCCが法的整理を通さず債権放棄した
信和ゴルフの1コースだけが民事再生に
 法的手続きを使わずに自主再建を図ることでRCC(整理回収機構)と合意していた信和ゴルフグループのうち、1コースが会員からの破産申立てをきっかけに、民事再生で再建を図ることになった。

 巨額の負債を抱えていた信和ゴルフグループは、2年前にRCCとの間で債務返済の調停を成立させている。1000億円を超える預託金債務を抱える一方で、800億円を優に超える金融債務も抱え、そのうち730億円が旧・日本債券信用銀行から譲り受けたRCC分だった。

 このときRCCと合意した返済内容は、ハワイに所有する5コースすべての売却代金を返済に充て、残りは国内8コースの収益から毎年6億5000万円ずつ、12年間で総額78億円を返済、その時点で残った債務を放棄してもらうというもの。当時、債権者の立場から債務者であるゴルフ場経営会社に法的手続きをとるなど、強行な手段が目立っていたRCCから、法的手続きを使わずに債権放棄への合意を取り付けたのは、ゴルフ場経営会社としては信和グループが第一号だった。

 昨年暮れにはハワイのコースのうち2カ所が売れ、RCCには返済が行われたが、売却されたコースの会員約3000人に国内コース共通の会員権を交付する救済策が実施された。

 しかし、この流れに国内コースのひとつ、パインレークGC(兵庫)の会員が反発。今年1月に中間法人を設立し、4月26日に京都地裁へ(株)パインレークゴルフクラブの破産を申立てた(のち7月1日に会員43名の個人名で改めて申立てた)。

 会社側はこれに対抗、8月24日、大阪地裁に民事再生手続きの開始を申立てているが、これを受けて、会員側は再生手続きに管財人を付けるよう上申書を提出、認められれば破産は取り下げる方針だ。

 しかしなぜ会員側は法的手続き、しかもなぜ民事再生や会社更生ではなく法的にはプレー権が消滅してしまう破産を、会員が自ら選んだのか?

 会員組織「中間法人パインレークを護る会」の佐野久郎会長は、今回の破産申立てについて「信和グループの運営は高く評価しているが、会社側の再建の進め方については不信感があるため、透明性が望める法的手続きに委ねたかった」という。

 会員組織の発足はRCCとの調停成立の2年前に行われた理事会で、同GCでは株主会員制への移行を決議、なおかつ会員数を約3倍の2700人に増やす案を提示。このため、会員組織を発足させ、会員側に議決権の3分の2以上の株券を引き渡すことなどを要望していたという。その後、会社側からは会員に渡す株券は議決権の5割とする代わりに、預託金債務は消滅させず、永久債化する、という修正案が提示されている。

 一方、プレー環境の面では、ハワイのゴルフ場の会員3000人に共通会員権が発行されたため、パインレークでも当然会員が増えるわけで、会員としては信和ゴルフのコースではなくパインレークの会員になったのに、コースが信和の事後処理に使われてしまっている。会員数も会社側は明確に公表しないなど、会員に対する情報開示姿勢にも疑問が多々あるから、ちゃんと法的手続きで進めてほしい、というわけだ。

 なかでも破産を選んだ理由は、「会社更生や民事再生に比べ予納金が安かった」ため。プレー権については、現状では破産になっても管財人がコースの売却の際、プレー権の継続を契約条件にきちんと盛り込むケースが概ね一般化していることに加え、「破産の申立てに踏み切ることについては事前に会社側に伝えていたが、こちらが破産申立てを行えば民事再生の申立てをすることはわかっていた。透明度の高い再建手続きになるのであれば民事再生でもいいと考えていた」からだという。

 かつては男子ツアーも開催していたクオリティの高い同GCだけに、スポンサー候補が多数名乗りを上げ、金額面でも好条件が提示されることも当然予想される。今のところ「自主再建の方針に変更はない」(信和ゴルフグループ)が、RCCとの債権放棄を含んだ合意を維持したままとなるのかどうか。大いに注目される。

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