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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/28
2004年更新
レイクウッド倒産も、なぜか特別清算……
スポンサーは外資避け、複数の国内企業予定

法人会員の質も高いと評判のレイクウッドGC
 8月27日、東京地裁から特別清算の開始決定が出た湘南観光開発(株)。バブル期、会員権相場で小金井GCを抜いたこともあるレイクウッドGC、やはり“億カン”に数えられたこともある平塚富士見CC(ともに神奈川・36H)など4コースの経営会社の突然の倒産。しかもゴルフ場倒産処理では主流の民事再生や会社更生といった「再建型」ではなく、「清算型」である特別清算だったことから、会員や会員権業者には、一時「高額会員権が紙屑になる」との不安、憶測が乱れ飛んだ。

 特別清算の開始決定までの経緯を説明しておくと、8月16日に臨時株主総会での同社の解散決議がなされ、それを受け23日に同社自身が申請した。負債総額は預託金約280億円、金融債務約300億円を含む約600億円。系列コースは前記2コースの他、レイクウッドGCサンパーク明野コース(山梨・36H)、レイクウッドGC富岡コース(群馬・18H)があり、会員数は平塚富士見の3200人、レイクウッドの400人を中心に、約4000人である。

 特別清算に至った理由について会社側では、入場者減少による売上高の激減、預託金償還問題、さらに山梨、群馬2コースへの投下資金の回収目途が立たないなど、と説明する。

 実際に売上高は93年3月期の約81億円をピークに、04年3月期には約39億円と半減。また94年に行ったレイクウッドの8000万円(50口)の追加募集も、今年償還期を迎え、経営を圧迫していた。さらに91年開場のサンパーク明野コース、96年開場の富岡コースでは会員募集の不振に喘いだ。

 といった経営状況からすると会員や会員権業者の不安も理解できるが、申請代理人の小竹治弁護士は「確かに世間的には倒産のイメージを免れないが、会員の権利を十分に尊重し、また理解も得易いソフトランディング(軟着陸)の再建スキーム」と説明する。

 会社は解散してなくなってしまうのに、再建とはどういうことなのか?

 小竹弁護士の話、また9日に都内で開かれたレイクウッドGCの会員への説明を要約すると、その内容は次のようになる。特別清算により湘南観光開発(以下・旧会社)を解散させるが、同時に新会社にすべての資産、営業権を譲渡、今後は新会社が事業を承継する。預託金のカット率こそ明らかではないが、カット後の預託金を新会社に再預託し、プレー権は従来通り確保される、というものだ。

 そして事業を承継する新会社は、(株)レイクウッドコーポレーション(事業活動していた企業を商号変更したもの)で、その出資企業のひとつとして日本土地建物(株)の名前も明らかになった。同社は中堅不動産ディベロッパーで、ゴルフ事業については、会社更生中の佐藤工業の持つ大多喜CC(千葉)の株式を引き受け、グループ2社で35パーセント持つ主要株主として経営に当たっている。もともと日本勧業銀行(後の第一勧銀を経てみずほ銀行)系列の総合不動産会社、勧友ビルディングとして設立され、みずほ銀行と近い関係にある。

 湘南観光開発系列の4コースの施設の謄本を眺めると、第一勧銀(当時)が200億円超の根抵当権を設定していることから、今回の特別清算は大口債権者であるみずほ銀行の意向も大きく影響していたことが見て取れる。

 新会社へのほかの出資会社については、「現段階で明らかにすることはできないが、日本を代表する複数の企業が出資を予定している。また日本土地建物も含め出資予定者との間では、会員の権利を最大限に守ることで合意もできている」(前出・小竹弁護士)とする。

 この点について日本土地建物では、「裁判所の決定を待つ段階でお話できる段階にはない」(同社広報部)としながらも、再建の中心的な役割を果たすことは大筋で認めている。

 今後は民事再生の再生計画案、会社更生の更生計画案にあたる協定案が示され、12月中には債権者集会が開かれる予定。特別清算における協定成立には、債権者数の過半数、債権額の4分の3の同意が必要と、民事再生、会社更生よりもハードルが高いが、「すでに金融機関、会員も含む事前に多くの同意を得た上での申請と理解してもらって構わない」(小竹弁護士)と自信を覗かせる。

民事再生や会社更生でなく、なぜ特別清算?

 会員にとって気になるのは預託金のカット率だが、「平塚富士見については額面の多くは100万円で、(相場が高いため)カット率はほとんど問題ない。レイクウッドについては確かに8000万円の会員権が数10口あるが、新会社はさらなるグレードアップの施策を確約しており、必ず満足頂けるものになるだろう」(小竹弁護士)

 ちなみに現在、特別清算の開始により名変は停止しているが、直前の相場ではレイクウッドが2900万円前後、平塚富士見が1200万円前後で推移していた。一度は会員権業者の中に不安の声も聞かれたが、「負債を圧縮し経営基盤が安定することで、むしろ好材料が増えるのでは」(都内老舗会員権業者)との期待の声も出始めている。

 もっとも協定案が不成立となれば破産手続きに移行する。ゴルフ業界では今年2月、旧トッププレーヤーズCC(現・新里美CC、茨城)が、協定不成立となった後、東京地裁から破産宣告を受けた例もある。

 さて、素朴な疑問として残るのは、なぜ今回、民事再生や会社更生ではなく、特別清算なのかという点だ。この点についてゴルフ場問題に詳しい金融ジャーナリストによると、「特別清算の特徴は、他の倒産処理に比べて手続きが簡単で、債権者との話し合いの余地が十分に残されている点。また競売に付される破産はもとより、民事再生、会社更生でもスポンサー型の再建だと、往々にして資金力によって見ず知らずの第三者に経営権が移る可能性もある。その辺を回避したかったのではないか」と言う。

 この点について小竹弁護士も「たとえばゴルフライフといった会員の無形の財産は、外資のように資本の論理や経営効率だけで語られる問題ではない。会員の権利と同時に、会員の文化を守るという意味においても、有効なスキームだと思っている」とする。

 実は小竹氏は、一昨年、ザ・サイプレスGC(兵庫)で特別清算によるスキーム作りに参加、金融機関との交渉を受け持った人物。具体的にサイプレスは、会員によって構成される新会社(株)サイプレスクラブ(大西久光社長)が、旧会社から営業資産をすべて買収。預託金を新会社の株式にすることで、株主会員制への移行を図った。

 特別清算には市場や会員の評価も高く、また限定された会員数、金融機関との関係も良好など「まとまりやすい条件」が求められるが、再建スキームとして注目してもよさそうである。

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