週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
ここ最近の10大会では、欧州チームの6勝、過去10年ということであれば、5試合中4試合で欧州が勝っているのだから、伝統的に米国チームよりもこの試合にかけるモチベーションが高いといえるのかもしれない。とはいえ今年の欧州チームの顔ぶれは若手が中心。かつて欧州チームをリードしてきたN・ファルド、S・バレステロス、J・M・オラサバル、I・ウーズナム、S・ライルらが姿を消し、主将はB・ランガーがつとめた。 けれど、この若手たちが目覚ましい活躍を披露。5戦のうち4勝1分けのガルシアは、「僕たちは、この試合のために生きているんだ。ここではほかの試合より、真剣にならなくてはならないし、自分自身を信じて戦わなくてはならないんだ」と語り、そのとおりの結果を残した。 またそのガルシアと組んだウエストウッドの活躍を主将のランガーは、こう誉める。「ガルシアは、非常にエキサイトしてコースのそこら中で、飛んだり跳ねたりしながらファイト剥き出しの大活躍だった。一方、リー(ウエストウッド)はその反対に、非常に落ち着いてプレーし、何があってもイラつくことがなかった」と、二人を2試合で組ませた自分の作戦に満足顔。 逆に、初日の2試合でウッズとミケルソンを組ませ、2敗した米チームのキャプテン、H・サットンの采配ミスを指摘する声もある。ワールドランキングからいえばこの二人を組ませれば、負けるはずはなく、先手を取ってチームに勢いをつけようという作戦だったのだろうが、もともとこの二人の相性は決して良くない。 かつてウッズがナイキのクラブを使用し始めたとき、ミケルソンが「そんなクラブを使うなんて、どうかしている」と、批判めいた言葉を口にしたことから険悪なムードに発展した。その後二人が直接話し合い、誤解は解けたとされているが、もともとしっくり行く関係とはいえない。 クラブに関して言えばライダーカップの前週にミケルソンが契約をタイトリストからキャロウェイに変え、「大事な試合の前に、何を考えているのか」といったミケルソンに対する批判の声があがっていたのだが、これに対して、ミケルソンは「飛距離が伸びただけで、プレー内容はほとんど変わらない」と説明していた。これを受けて、テレビの解説者たちも、「一流のプレーヤーは、どんなクラブでも使いこなせる」とミケルソンを庇っていたのだが……。 この二人のカップリングを含め、主将のサットンは今回、「力づく」で攻めた。最終日のシングル戦もタイガー、ミケルソン、ラブIII、フューリックと単なる世界ランキング順に戦わせるという、戦略ともいえない作戦に出て、それが裏目に出てしまったのだ。 結果は、ミケルソンが4戦して1勝3敗。タイガーは、2勝3敗の成績で、過去のライダーカップを含めると、7勝11敗2分。そもそもミケルソンは、「メジャーと同じ自分流の調整法」と称して、試合直前の練習ラウンドにも、会場にも姿を現さず、これも批判の対象になっていた。こうした行動を許したサットンをはじめ、チームの団結力より、個人の力を過信したチーム全体の雰囲気に問題があったというのが、歴史的大敗の原因だと、言えるかもしれない。結局、第1の責任は、キャプテンのサットンにあり、2番目はミケルソン、そして3番目は、ライダーカップで、負け越しの記録を更新してしまったウッズということになりそうだ。