週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
今回破産に移行することがほぼ決まったのは、昭和グループの昭和総合開発(株)、(株)藤岡ゴルフ倶楽部、(株)関越ハイランドゴルフクラブの3社。 3回目の返済が出来ないことから、8月27日、東京地裁から再生手続きの廃止決定が下りたため、近日中に破産宣告が下りることになる。 コースの運営は監督委員だった小林克典弁護士が、保全管理人として管理、営業は通常通り続けている。 昭和グループはもともとコース施設の保有、預託金証券の発行、運営の全てを昭和総合開発(株)で行っていたが、平成10年にコースごとに運営会社を設立、会員の同意がとれた順に預託金債務も各運営会社に移管する措置を実施している。 巨額の負債を抱える中、「預託金債権者以外の一般債権者からプレーフィーなど日銭に強制執行を受ける可能性があり、コース運営に支障が出れば結果的に会員に迷惑をかけるため」というのが、当時会社側が本誌に語った理由だった。 が、結局は翌平成11年10月には和議の申立に踏み切り、平成12年4月の民事再生法施行に伴い、同年6月民事再生に手続きを変更、約1年後の平成13年7月再生計画案の認可決定を受けている。 民事再生の申立時点での負債総額は約1091億円あったが、このうち、藤岡GC、関越ハイランドGC、ルーデンスCC、小幡郷GCの4コースと、リゾート会員権のルーデンスヴィレッジ中里で、合計3万3000人弱の会員に対する預託金は、477億円に上った。 計画では、ルーデンスと小幡郷はそれぞれ三栄建設グループ、ベルーナグループに営業権を譲渡、所属会員の預託金を全額諦めてもらう代わりにプレー権のみの新証券を発行。まずこの2コースの切り離しで170億円の預託金をカット、残る2コースの退会希望者と一般債権者については99パーセントカット、平成17年からの5年間でゴルフ場の収益から返済する、継続会員は預託金カットなしで平成23年以降抽選償還というのが、認可決定を受けた再建計画の中身だった。 しかしいきなり最初からこの目論見には狂いが生じる。1万5245人から退会により約3000人減と見ていた藤岡GCで約5700人減となり会員数は約9500人に。関越ハイランドGCでも6552人いた会員数が、現在約4700人となり、退会希望者が予想を大きく上回ってしまったのだ。 このため、返済率も1パーセントから0.93パーセントに変更を余儀なくされたわけだが、最も影響を受けたのは、「継続会員数が計画を大きく下回ったことで、年会費収入、来場者数がともに計画を大幅に下回ってしまったこと」(昭和グループ保全管理人室)だという。 つまりは退会希望者の見積りが甘かった、というわけだが、民事再生施行から間がなかったためか、計画が甘かったと言わざるを得ない。 退会希望者や一般債権者への返済はまだ始まっていなかったにもかかわらず、コース施設に担保を付けていた別除権債権者への返済や、税金の支払いが初年度から発生、その額は2年間で12億円にも上り、この負担だけでギブアップしてしまったのだ。 継続希望会員に対する、“据え置き期間満了後の抽選償還”は珍しくないとしても、“カットなし”は最近ではまず聞かない。 「スポンサーなしでの自主再建は、負債が預託金のみというコース以外はかなり難しい。」(ゴルフ場問題に詳しい弁護士)ことを、象徴する事態と言える。 結局わずか1パーセント弱とはいえ、返済を受けられるはずだった退会希望者と一般債権者には、配当ゼロとなるのは間違いない。既に2コースはジャスダック上場の不動産コンサルティング会社・ゼクスへの譲渡が内定しており、預託金は全額カットになるが、プレー権は保証される見通し。 民事再生第一期組が、計画認可から3年目を迎える中、第2、第3の昭和グループが登場して、ゴルフ場の“売り物”が出て来る可能性は高い。ゴルフ場再編問題はいま、第2ステージに入ったと言えるだろう。