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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/19
2004年更新
初優勝が続く女子ツアー。7人目のシンデレラ
山岸陽子は、根アカで力自慢の34歳プロ
 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(9月24~26日)でプロ11年目、34歳の山岸陽子が、古閑美保とのプレーオフの末、初優勝を飾った。これで今季の女子ツアーは初優勝者が7人目。ますます盛り上がりを見せているが、一般ゴルファーにはまだ馴染みの薄い山岸の素顔に迫ってみよう。

 山岸陽子がゴルフを始めたのは高校卒業後の18歳から。ジュニア出身の女子プロたちが注目を集めるなかでは、遅いスタートだ。ゴルフ好きの父親の影響で、趣味でゴルフを始めようと考えていたときに、近県の岐阜県に日本女子ゴルフ専門学校がその1年前に出来たことを知り、そこの2期生として入学することになった。とはいえ、まだその頃はプロゴルファーになることなど夢にも考えていなかったという。


実は力自慢の美人プロ
 しかし、小学1年から高校3年までスキーのアルペン競技にのめり込み、福井県大会で3位に入るほどの運動能力を持っていた山岸は、あっと言う間にゴルフを習得してしまう。始めてわずか1年余りで中部女子アマに優勝したり、プロツアーの東海クラシックに出場する権利を得たりと、アマチュア時代は「順風満帆」。当然プロへの憧れを抱くが、ここからの道のりが長かった。

 プロテストには4回目のチャレンジで、やっと合格。けれど試合では思ったような結果が出ない。そこで、95年から3年間は、米女子ツアーの下部ツアーに参戦しながら腕を磨いたが、相変わらずゴルフの内容は良くなかった。

 それが1年半ほど前、鳴かず飛ばずの山岸に、ツアーで行動をともにしていた藤井かすみが「わたしのコーチに見てもらいなよ」と、高沖陽介氏を紹介してくれたのが転機だった。

「山岸は教え始めた頃、パワーはあるけれど、もの凄いフッカーで、ドライバーが右から左に20ヤードも曲がるほどだったんです。それを曲がりの少ないフェードに180度転換させました。僕自身が岡本綾子さんからゴルフを教わっていたので、岡本さんのリズムやスウィングメカニズムも同時に教えました」と、高沖コーチは語る。

 これを受けて山岸は、自分のスウィング改造について、こう説明する。「持ち球をドローからフェードに変えたおかげで、ピンの左から安心して攻められるようになり、ゴルフが変わりました。フッカーの頃はピンに向かったボールが真っ直ぐ飛び出しても、それから左の林まで曲がってしまうことなんて、ザラでしたから」。

 フェード系に変えると飛距離が落ちるのが普通だが、山岸の場合はさほど飛距離が落ちることもなかった。いまでもドライバーの平均飛距離は240~250ヤードで、女子ツアーの中でも飛ばし屋の部類に入る。

「私はこう見えても、実は力持ちなんです。80キロのバーベルなら持ち上げられますよ。10年前は、100キロでもイケました」

 プロ生活11年目の初優勝でも涙を流すことのなかった山岸だが、そのことを尋ねてみると「もともと後ろ向きに考えるタイプじゃないんです。でも普段は涙もろくて、他の人が初優勝するたびに、もらい泣きしてたんです。だから私も勝ったら泣いちゃうだろうなと、その日のためにイメージトレーニングまでしていたんですが、結局涙は出ませんでした」

 涙どころか自ら「バンザーイ!」と叫んで締めくくった優勝インタビューを見ても、根っからの明るい性格がウリのようだ。

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