10月5日、カリブ海のバルバドス島で行われたタイガー・ウッズとエリン・ノルデグレンの結婚式は無事に成功した。
式は二人の希望で家族と親しい友人たちだけに囲まれて行いたい、と極秘に計画されていた。が、事情はそれだけではない。
出席した約120名のゲストは、プロゴルファーはマーク・オメーラ、ジョン・クックだけだが、他にビル・ゲイツ、マイケル・ジョーダン、チャールス・バークレー、オープラ・ウィンフリー(米で一番の人気を誇る番組司会者)ら、いずれも厳重警備が必要な著名人ばかり。何としても安全とプライバシーを守らねばならなかった。
式の成功のため会場となった島の最高級ホテル、サンドレイン・リゾートの全客室を貸し切り、島に離発着するプライベート機もすべて抑え、式前日に2人のパパラッチが見つかっただけで一般人を絶対に寄せつけなかった。
その裏にはタイガーと親しい人物による強力なバックアップがあった。それはアイルランド人の富豪、J・P・マクナマスとダーモット・デズモンドだ。会場のリゾートは二人の所有でタイガーのために便宜を図った。
マクナマスはスイス在住の51歳。ギャンブルから身を起こし、為替取引で財を成し、100頭以上の名馬を所有。サッカーのマンチェスター・ユナイテッドの共同オーナーとしても知られている。ゴルフも欧州ツアーのトーナメントスポンサーや選手の有力なパトロンでもある。選手の中でタイガーとは最も親しくプライベートで一緒にプレーする仲だ。かつてマッチプレーをしたときにはタイガーを3&2で負かしたこともあるほどの腕前。タイガーは毎年のように全英オープンの前にアイルランドへ行くのも彼らとの付き合いなのだ。この結婚式でタイガー人脈が少し浮き彫りになったのが興味深い。
ところでこの結婚を機に、タイガーのゴルフが今後どう変わるかが注目されている。
数年前にジョニー・ミラーが「今のタイガーはゴルフだけを考えているが、今後結婚をして家庭を持つようになるとゴルフに集中できなくなる。たぶんそのときが転機になるはず」とコメントしていたことがある。それを裏づけるかのように、現在のタイガーはシンとエルスに抜かれて、世界ランク3位に滑り落ちた。最後にストロークプレーで優勝したのは、昨年10月のWGCアメックス大会で、すでに1年以上前の話だ。その間、2月のアクセンチュア・マッチプレーで1勝しただけ。
ブッチ・ハーモンと決別してから不調が囁かれているが、本人はスウィングをキャディにビデオで撮らせ、自分でチェックするやり方を続けている。しかし、メジャーに勝ちまくっていた2000年にはドライバーの平均飛距離が298ヤード、フェアウェイキープ率も71.2%を誇っていたのに、今年の場合は302ヤードとわずかに飛距離こそ伸ばしてはいるが、フェアウェイキープ率は57.3%でランキング177位という寂しい数字に終始している。
いまハネムーン中のウッズは、「楽しくて仕方がない。毎日ダイビングをしてるし、皆から離れて僕たち2人だけの生活は本当に素晴らしいんだ。いつまた試合に戻るかは、分からない。ここでの楽しさと試合を天秤にかけているんだ」と話している。この分だと、今週出場を予定している地元フロリダでのフナイクラシックを欠場する気配が濃厚で、関係者をヤキモキさせている。
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