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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/2
2004年更新
「藍ちゃん&不動」の使用モデルが売上好調
女子プロ人気がアマチュアのクラブ観を変えた
 宮里藍が使用するドライバー、ブリヂストン「ツアーステージViQ」は、開幕戦「ダイキンオーキッド」での宮里藍の優勝と発売のタイミングとがうまくかみ合った結果、Vシリーズ前モデルの3倍という出荷数を記録し、いまだに勢いが持続する大ヒット商品となった。

 また、セイコーエスヤードが8月中旬に売り出した「不動仕様モデル」も完売となるなど「クラブを売るには女子プロから」という新たな定説が生まれつつある。

「実際のところ藍ちゃん効果は大きい」と話すのは名古屋市の小売り大手ゴルフニューオーシカの大鹿壽一社長だ。「開幕戦からの大活躍もあったし、メーカーのPRも力が入っているので、『藍ちゃんのViQ』と指名が入るほど認知度は高く、われわれとしては売りやすい商品です。また、最近は他の若手女子プロの使っているクラブに対してもお客様の関心は高まっています」


「藍ちゃん効果」は用品にも波及
 宮里藍、不動裕理、古閑美保、馬場ゆかり……確かに、ゴルフクラブの広告や店頭のPOPなど、今年に入ってから女子プロが男子プロを押しのける勢いで氾濫している。水面下でメーカー間の争奪戦が激しくなっているのは横峯さくらだ。かつてミズノでは、「モード」のCMに岡本綾子とカーレーサーの中嶋悟を起用したが、男性ボリュームゾーンをターゲットとしたクラブのメインキャラクターに女子プロを起用した例はこれまでなかったといっていい。

 ブリヂストンは、ジャンボ尾崎のJ's、倉本昌弘のニューイング、また最近では丸山茂樹や伊沢利光のツアーステージシリーズなど、その時代のトッププロを起用した販促活動で成功を収めてきたメーカーだ。しかし、女子プロが使って飛距離を伸ばしているという口コミから「プロ230チタン」がヒットした例はあるが、女子プロを前面に立てた宣伝販促というと前例がない。

 そうした意味では、同社の広告戦略も的を射たものだったといえる。シーズン当初から宮里藍のキャラクターを前面に押し出し、「宮里藍=ViQ」というイメージを強くユーザーに印象づけてきた。また、いくら大物とはいえ実質プロ1年目の新人に「当初から主力商品として2年間売る計画だった」(ブリヂストンスポーツ広報部/星さん)ViQの命運を託した先見の明があった。

 一方、不動裕理の通算30勝を記念して限定100セットの「不動仕様モデル」を8月中旬に発売したのは、不動と使用契約を結ぶセイコーエスヤード。こちらは「あくまでも通算30勝達成のお祝いごとの一環として発売しただけ」(セイコーエスヤードゴルフ用品部・室谷氏)と控えめ表現ながら、即完売に近い状態。オリジナル市販モデルの「TX-2」ドライバー、「GF-1」アイアンも好調で、やはり圧倒的な強さを誇る不動に対する関心の高さをうかがわせる。

 高校生の頃からエスヤードを愛用し、プロ入り後そのまま同社と契約した不動だが、同社の宣伝販促にはあまり登場してこなかった。しかし、今シーズンは「あくまでもアマチュア向けに開発した商品なので、プロが使う難しいクラブというイメージで見られたくない」という方針を貫いてきた同社を販売店サイドが動かした。「藍ちゃんのパネルはあるのに、どうして不動さんのパネルを作らないのか。トップの二人を並べることで相乗効果も期待できるのにという要望が販売店さんから寄せられました。また、試打会でも不動プロが使っているクラブを打ってみたいという声が多い」(室谷氏)というのがその理由だ。

 女子プロの使うクラブが平均的アマチュア男性に適していることに今さら異論をはさむ人もいないだろう。だが、そこそこ腕に覚えのあるゴルファーは、女子と同じクラブを使うこと自体にひっかかりがあった。しかし、宮里藍や不動裕理のクラブなら自分も他人も納得させられるというわけだ。「藍ちゃん&不動」という2人のトップ女子プロがクラブ選びに対するゴルファーの意識を変えるきっかけとなったことは間違いない。

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