毎年この時期になると、米ツアーのクオリファイングトーナメント(QT)に挑戦する顔ぶれが話題になる。例年、賞金王争いの行方を左右したり、伸び盛りの若手の転出といった影響をツアーに及ぼすからだ。
米ツアーの今年の最終QTは12月1日~6日(6ラウンド)、カリフォルニアのPGAウェスト・スタジアムコースで開催される。日本ツアー選手は、9月17日時点の賞金ランキング10位以内で、希望する上位3選手に出場資格が与えられている。
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春先の東建カップで早々と優勝を決めた藤田も米ツアーに挑戦 |
その有資格者の中から、当初S・K・ホ、Y・E・ヤン、藤田寛之の3選手が出場を申請していたのだが、Y・E・ヤンのエントリーにミスがあって失効。代わって次点で出場を希望していた谷原秀人が出場資格を得た。
その谷原は以前から米ツアー挑戦に積極的な姿勢を見せていたが、「アメリカの方がレベルが高いので、自分のレベルアップを考えたらやっぱり挑戦してみたい。もちろん、上位でツアー出場資格を取りたいが、そのための準備とか意気込みみたいなものはまだありません。目の前のゲームの方が大切だから(笑)」と、まだ先のことと語る。
対照的に心の準備を完了させているのが藤田だ。「万全の準備をしていくつもり。米ツアーには何回か出ているけど、層の厚さ、レベルの高さ、セッティングのタフさは実感している。その中で、正確性重視の僕流ゴルフがどこまで通用するのか試してみたい」と、まるで中日の落合博満監督のような“オレ流”を強調する半面、「米ツアーではコンスタントなスコアメークだけではダメ。どこかで爆発的なスコアを出さなければならない」と判断。そういった競技環境に身を置けば、自分もそうなるよう努力すると思うと、柔軟な姿勢も見せる。
「(田中)秀道に聞いたけど、向こうは賞金ランク70位まではパワー・技術とも無茶苦茶すごい選手ばかり。だから、マル(丸山茂樹)の20位前後という成績は超人的なんだそうです。そういったなかで自分流のゴルフを、是非試してみたい」と、早くも強い意気込みをみせる。
そうした中、まだQTに気持ちを集中させられないでいるのがS・K・ホだ。
彼も、もともとは米ツアー志向が強いのだが、「ファイナルQTにはエントリーはしたけど、まだはっきり出ると決めたわけではないんです」と煮え切らない。その理由は、「残り試合の成績によっては賞金王になれるチャンスがあるから……」
これまでにも、例えば00年には、片山晋呉と激しい賞金王争いを演じていた谷口徹が同様の苦渋の選択を強いられた。結局、谷口はQT挑戦を選択。シーズン大詰めの高額賞金大会、カシオと日本シリーズを欠場。それが響き、最終戦のファンケルオープン(沖縄オープン)で片山に逆転され、わずかの差で賞金王の座を逃したことがある。「いずれは米ツアーに行きたいけれどチャンスはこれからもある。やっぱり賞金王のタイトルの方が魅力的ですよ」(S・K・ホ)
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