来年の男子米ツアーの出場権をかけて争われるQT(クオリファイトーナメント)に、今年、一人の女性プロが史上初めて挑戦することになった。ここ1年ほどの間に、アニカ・ソレンスタムやミッシェル・ウィなどが男子ツアーに参戦することで開かれた「男子ツアーへの門戸」が、まだ無名の新人女子プロの挑戦意欲をかきたてたようだ。
今回、米男子ツアーのQTに一次から挑戦するのは、イザベル・ベイシーゲルという25歳の新人女子プロ。エントリーフィ4500ドルを払って出場する彼女、出場前から「テストに受かるまでは、何年でも挑戦し続けるわ」と、その熱い意気込みを語っている。
ただし、今年のベイシーゲルはLPGAの24試合に出場して、トップ10に入ったのが、ケロッグキーブラー・クラシック(7位タイ)のわずかに1回だけ。LPGAの統計では、ランキング8位と飛ばし屋の方だが、それでも平均飛距離は、265.6ヤード。賞金ランキングでは、12万ドル強を稼いで、ランキング79位と、来年の女子でのシードを何とか確保しているものの、男子ツアーで互角にやってゆける実力の持ち主とは言えそうにない。
けれど本人に言わせると、ゴルフは飛距離などよりも、メンタル面の要素が大きく、「そのメンタルなハードルをきっと乗り越えてみせる」と強気でいるのだが、少なくとも現時点では、将来の成長はともかくも、無理な挑戦として、ツアー関係者たちの間では受け止められている。
たしかに女性が男性プロの中に入ってプレーをすれば、ゴルフの技術面はもちろん、メンタル面でも大きく成長するチャンスにはなるだろうが……。
ところが、他の大物女子プロたちが招待選手として男子ツアーに参戦しているのと違い、自腹で男子ツアーに挑戦しているベイシーゲルには、表立っての批判の声は聞こえてこない。
かつて、V・シンが、コロニアルに出場したソレンスタムを批判して、すっかり悪役になってしまい、シン本人もその批判の声から、調子を取り戻すのに時間がかかったということもあり、女性の男子ツアー挑戦については、応援の声こそ上がれ、批判の声は出ずらくなっているのだ。他のトッププレーヤーとは異なり、デビュー当時スポンサーにも恵まれず苦労したシンにすれば、他の新人たちの出場枠を奪って、スポンサー招待で出場するソレンスタムを批判したくなる気持ちもわからないではないのだが、この「事件」によって女性批判の声は封じ込められてしまっている。
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