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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/7
2004年更新
藍ちゃんを悩ませる「見えない敵」
ギャラリーのカメラ付き携帯のマナー
 女子プロ人気が過熱する一方で、最近トーナメント会場で携帯電話での撮影、いわゆる“写メール”問題が深刻化してきている。

「朝イチのティショットで緊張しているとき、いきなりカメラ付き携帯で狙われるのはさすがにいい気持ちがしませんね」


人気者はツラい!?
 と、宮里藍は以前から“携帯被害”を訴えてきた。もちろん写メールだけでなく、試合中に携帯電話が鳴りだし、ストロークに支障をきたしたという事態は宮里だけでなく、多くのプロゴルファーを悩ませてきた。

 ミズノクラシックでは宮里藍がティショットを打つ前に、キャディやスタッフが再三「撮影はしないで」と呼びかけたにもかかわらず、カメラ付き携帯のシャッター音は鳴りやまなかった。するとそれに激昂したギャラリーの一部が「藍ちゃんがかわいそうだろ。取り上げろ!」と騒ぎ、一触即発の険悪な状況に。撮影音も去ることながら、ギャラリー同士の激しいやり取りが、当の宮里を怖がらせる結果となってしまった。

「一緒に回っていたアニカもエブリホール(毎ホール)ね、と笑ってました。初日の13番のティショットではアニカが切り返しに入った瞬間、カメラ付き携帯の音が鳴って、さすがに彼女も唖然としてましたけど、当たりは完璧でフェアウェイのど真ん中に飛んでました。で、すぐに笑い出したので、さすがアニカ、と思いました」(宮里藍)

 それにしても試合観戦中は写真撮影は禁止のはず。それがなぜここまで試合会場が無法地帯と化してしまったのか?

「5年前は携帯電話自体持ち込み禁止でしたが、今はマナーモードに切り替えるよう看板を設置したり、スタートホールでアナウンスするなどギャラリーの方に協力をお願いしています。以前はプレー中の選手を携帯で撮影した場合、入場半券と引き換えに没収し、ゲートで返却することもありましたが、今はそれはやっていません。運営サイドでは特に撮影が多い藍ちゃんの組にはギャラリー整理にアルバイトだけでなく、責任ある社員をつけて注意を促す努力はしています」(トーナメント運営関係者)

 撮影者が横行する現状を考えると、いちいち没収しゲートで返却すのは、気の遠くなるような作業といえる。

 一方、日本女子プロゴルフ協会の認識はこうだ。

「基本的に観戦中の撮影は禁止です。にもかかわらず違反する人が後をたたないわけですが、現状ではギャラリーのマナーに委ねるしか方法がなく、協会としては引き続きスタートアナウンスやペアリングなどの告知によって、ギャラリー観戦のマナー向上を期していきたいと考えています」

 もちろん個々のマナーの問題ではあるが、これだけマナーが乱れ支障が起きているのであれば、具体的に何らかの方法を講じていくべきではないだろうか。

「コニカやNECなどカメラメーカーが主催の場合、練習場などでギャラリーに撮影エリアを設けることがあります。100パーセントとは言えませんが、(写メール撮影の)抑止効果になっていると思います」と、ツアー関係者は言うが……。

「米ツアーでは携帯での撮影はまだ普及していないという事情もありますが、撮影に関しては試合中の選手のプレーの妨げにならないよう、練習日をギャラリーに解放して、好きなだけ写真を撮れるような配慮をしているケースが多いですね。撮影する機会を他に設けてあげれば、ある程度試合中の写メールは減るのでは?」と米ツアーで取材経験の多いカメラマンは提案する。

「以前はすごく神経質になってましたけど、アニカが撮影音を聞いてもびくともしない姿を見て、そんなに神経質になるべきではないな、と思えるようになりました」(宮里藍)

 だからといって携帯のカメラを藍ちゃんに向けて良いというわけではない。贔屓にする選手にこうまで言わせてしまうほど、選手に迷惑をかけているギャラリーが多いということだ。乗り物の中でなくゴルフ場でも携帯のマナーをしっかり守りたいものだ。さもないと「ギャラリーがいやだから」と海外へ飛び出す選手が急増することにもなりかねない。

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