アメリカでは、早くも2004年ツアーの公式日程が終了したが、意外な大物プレーヤー達のシード落ちが、注目を集めている。
来年の米ツアーのシード権を確保するためには、賞金ランキングで上位125位以内に入らなければならないが、名前が知られたところでは、P・エージンガー(126位)、N・ビゲイ(129位)、D・ウィルソン(133位)、M・オメーラ(135位)、J・M・オラザバル(142位)やその他にはM・クーチャー、B・メイフェアー、ベン・カーチスなどが、大きくランキングを下げてしまった。
もっともランキングの150位までは準シードのような形で、空き枠があれば試合にも出場できるチャンスがある上、カーチスをはじめランキング183位のR・ビームや210位のD・デュバルなどは、メジャー勝利後5年間はシードが与えられることから、来年の出場権にはとりあえず問題ない。
ただその一方で、オメーラやエージンガー、オラサバルなど過去のメジャー勝者たちがここまでランキングを落とすとなると、やはり世代交代を感じざるえない。
どうしてこのような状況が生まれたのかというと、一つの考え方として、トップグループと中堅以下のプレーヤー達との実力格差が、大きくついてしまったという見方がある。
今季は後半戦に入って、V・シンの大活躍で他のプレーヤーたちが霞んでしまったが、タイガー・ウッズに言わせると「自分の調子は決して悪くない。すべての歯車がかみ合うまで、今一歩のところまできている。むしろビジェイ(シン)は絶好調だし、アーニー(エルス)の調子も最高に近い。それに前半戦のフィル(ミケルソン)もこれまでにないプレーを見せていた」というように、どうやらこの賞金ランキング4位までのプレーヤーたちが、実力的に他のプレーヤーたちから群を抜いているからだ。あるいは、ウッズの実力に他の3名が追いついたといえるのかもしれない。
このトップ4に続いて、さらに全米オープンと最終戦のツアー選手権に勝ったR・グーセンや、賞金ランキング5位のS・シンク、7位のA・スコット、9位のS・ガルシアなどがトップグループの座を虎視眈々と狙っている。
賞金の配分が極端に上位に厚い米ツアーでランキングの上位に入るためには、賞金の高い試合で良い成績を収めなくてはならない。高額賞金の公式試合というと、4つのメジャー大会とWGCの3試合、それにプレーヤーズ選手権とツアー選手権が加わるが、実際にこの9試合すべてを賞金ランキング11位までのプレーヤーが制している。
トップ10のプレーヤーに日本ツアー出身のT・ハミルトンを加えたランキング11位までの選手たちの成績を振り返ってみると、高額賞金の9試合でなんと上位10位以内に彼らが39回も入っている。つまり、高額賞金ゾーンをわずか11名のプレーヤーで押さえてしまったというわけだ。そしてそれ以下の賞金ゾーンを180名前後のプレーヤーたちで争っているという図式になっている。
過去のメジャー優勝者であるオメーラやオラサバルたちはお金には困っていない上に、大きな試合で上位に何度か入ればシード権内に食い込めることを知っているから、試合数を減らしてビッグトーナメントに賭けてくる。ところが、前述のようにビッグトーナメントでは、必ずといっていいほど数少ないトッププレーヤーたちが上位を独占してしまうので、思うように賞金が稼げず、結局シード落ちするという事態に陥ってしまったようなのだ。
トッププレーヤーたちの実力とともに賞金がアップしたこともあって、今季はランキング11位のハミルトンまでが300万ドル(約3億2000万円)を越える賞金を手にし、なんと77名が100万ドル以上を稼ぎ出している。
タイガーが王座から降りてからの米ツアーは、いよいよ群雄割拠時代に突入したようだ。
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