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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/28
2004年更新
村にゴルフ場を寄付。福島の白河GCが
清水建設からNPO法人に移った理由
 大手企業のゴルフ場事業からの撤退が相次いでいる。大手ゼネコンの清水建設は、子会社の経営する福島県の白河ゴルフ倶楽部(27ホール)を、11月19日、地元の西白河郡大信(たいしん)村に無償譲渡することを決めた。12月5日まで営業は行うが、7日の譲渡セレモニーの後、村はNPO法人に運営を委託し、来春の再オープンを目指す。

 同GCは平成8年、清水建設と大信村が出資する第三セクターによりパブリックコースとしてオープン。その後、平成13年から清水建設が100パーセント出資する(株)白河ゴルフ倶楽部(西澤勲人社長)が運営を行ってきた。ゴルフ不況が叫ばれる中、村への無償譲渡などと聞くと、すわ経営不振、倒産かとも思われるがそうではないようだ。実際、同GCは冬季は積雪のためクローズになりながらも、年間3万5000人の入場者を誇り、黒字経営を続けてきた。

 今回の無償譲渡について清水建設では、近隣ゴルフ場とのプレーフィの値下げ競争など経営環境の変化を挙げながらも、「本業に集中する経営方針から決定した」と説明する。実際にリゾート部門からは、今後、次々と撤回する方針だ。民間企業への転売ではなく村への無償譲渡については、第三セクターによるオープン以来、用地買収、許認可の手続きなどでお世話になったからだという。

 さて気になる今後の運営だが、「まだ具体的には何も決まっていない段階ですが、村の公共施設を民間に運営委託できる制度を利用して、NPO法人による運営を検討しています。村民有志で『NPO法人白河ゴルフ倶楽部』の設立発起人総会を開き、12月1日、佐藤県知事に認証を申請しました。村としては来年3月20日を目処に再オープンを目指したい」(同村・企画情報課)としている。

 村としては転売により産廃投機の危険性があることなどを考慮し、譲り受けることを決めた。ただ年間3000万円の固定資産税が徴収できなくなり、赤字経営になる可能性もある。この点について渡部泰夫村長は、村議会や、また来年11月を目処に合併協議を進めている白河市、表郷村、東村の首長に対し、「赤字になった場合、村は補てんせずに休業とする」と明言している。

 ちなみにこうした例は、平成12年11月、マオイゴルフリゾート(27ホール)について、住友商事が北海道長沼町に無償譲渡したのに続き2例目。現在、同GCは(株)長沼振興公社が運営委託しており、黒字経営だという。なおNPO法人が運営委託するとなると、これは全国でも初めてのケースとなる。

 さて話は変わるが、茂原カントリー倶楽部の運営会社、菱友興産(株)が11月12日、「会員権解除の件」と題する文書を会員に対して送付した。その内容によれば預託金は全額返還し、倶楽部を解散するというもの。同GCは三菱商事を中心に三菱グループ33社が協力して、昭和62年にオープンした。

 同じ三菱グループの中核、三菱商事と三菱地所が所有する岡山県の久米カントリークラブも、12月1日付で冷凍食品メーカー、加ト吉に売却される。久米CCといえば、過去に三菱ギャランの開催コースとしても知られる。こちらも会員に対し預託金を全額返済するとしている。さらに東邦ガスの子会社、東邦開発(株)の経営する三重の一志ゴルフ倶楽部も、来年3月にミサワリゾートに営業譲渡する模様だ。

 このように大手企業が続々と子会社を通じたゴルフ事業から撤退する背景について、ある経済評論家は、「本業回帰がひとつ。もうひとつは導入された連結決算の影響もあり、多額の預託金を抱える会員制ゴルフ場事業は、それだけで負債となり親会社の足を引っ張る存在にもなりかねない。預託金の返還に応じるなど誠意は見せてきたが、これ以上、ゴルフ事業に関わるメリットがないとの判断が働いているのではないか」と推測する。

 大手専業の法的整理を含む倒産処理が一段落したが、来年あたりから大手企業のゴルフ事業からの撤退が本格化、外資に代表される投資家が虎視眈々と狙っているとの指摘もある。せっかく沈静化しつつある業界だが、再び混乱を招くような事態だけは避けてもらいたいものである。

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