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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 1/4・11
2005/1/16更新
タイガー失速、世界ランク2位に転落
ツアーは本格的アスリート時代へ突入
 04年の米男子ツアー最大のニュースは、やはり、タイガー・ウッズのワールドランキング1位からの転落だろう。

 8月の全米プロで、ウッズはワールドランキングのトップの在位331週というグレッグ・ノーマンが、持っていた記録を破ったが、その3週後のTPCボストンで、ビジェイ・シンが歴代12人目の王座につくと同時に、タイガーは2位に転落、その後、日本のダンロップフェニックスの優勝で2位に帰り咲いたが、一時はアーニー・エルスにまで抜かれて3位に転落していたのだ。


 タイガーがプロデビューしたのは、96年の9月。つまり、今年の9月まで8年間のプロ生活中、6年間以上もトップの座にいたことを考えれば、まさにタイガー一人で、世界の男子ゴルフ界を牽引してきたことが分かるだろう。それだけにタイガーの王座転落で、男子ゴルフ界の流れが変わったのではないかと、大きなインパクトを与えたのだ。

 確かに年間9勝、1000万ドル以上の賞金を1年間で稼ぎ出したシンの活躍には、目を見張るものがあった。しかしエルスも4大メジャーですべて優勝争いをしたし、マスターズに優勝したP・ミケルソンも全米、全英両オープンで、2、3位の好成績をあげた。もちろん、40代のシンや30代のエルス、ミケルソンの年齢を考えれば、タイガーの時代が終わったとは決して言えないのだが、タイガーを含めたこの4人の後を追うように、R・グーセンやS・ガルシアなども控えており、ある意味では、「タイガー帝国」が「共和制、集団指導体制」に代わってしまった感がある。

 ここで注目すべき点は、こうしたビッグネーム達が、皆ロングヒッターで、体格的にもガルシアを除く全員が、190センチ以上の身長を誇ることだ。

 確かに時代の流れは、飛距離よりも方向性、筋力トレーニングよりも柔軟性を重視する時代になっているようにも見える。実際、ミケルソンは04年、03年よりドライバーの平均飛距離を306ヤードから296.4ヤードへと10ヤード以上犠牲にして、フェアウェイキープ率を約14パーセントも上げて62.9パーセントにしている。またエルスもシンも、昨年の飛距離よりそれぞれ5ヤードほど落としているのだ。

 逆に、04年不調だったウッズは、飛距離を2ヤードほど伸ばしているが、フェアウェイキープ率は6パーセント強ダウンして、56.1パーセントという結果になっている。つまりコースのセッティングが年々厳しくなり、飛距離と同時に、フェアウェイキープ率を高めなければ勝負にならない時代に変わりつつある。トップグループに入るには、平均で295ヤード近くをより正確に飛ばさないことには王座を狙えない、「本格的なアスリートの時代」に入ってきた。

 そうした中で、やはり気になるのは「筋力トレーニングよりストレッチを重視」してスウィング改造を行なっていたウッズが、「すべての歯車がようやく噛み合ってきた」と、優勝したダンロップフェニックスで語っていたことだ。年齢から考えても、05年、再び王座に返り咲くのは、時間の問題かもしれない。

 しかし、他のトッププレーヤー達もその実力を確実にレベルアップしていることから、05年もウッズ、シン、エルス、ミケルソンといったビッグネームの戦いが軸になることは間違いなさそう。こうしたアスリーター達を相手に、日本勢を含め、若い世代がどれほど力を伸ばしてくるかが期待されるところだ。

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