04年も残念ながらゴルフ場倒産が相次いだ。まず専業大手では、国内14コース、海外4コースを展開してきた大洋緑化グループが2月に会社更生法を申請。負債総額は約1800億円、うち3万5000人から集めた預託金は約1300億円に上る大型倒産となった。大洋緑化については05年早々にも更生計画が成立する見通しだが、スポンサーには外資のローンスターグループが内定している。
負債総額約1680億円(預託金約1178億円)、国内8コース、海外5コース、会員数2万8000人という規模もさることながら、驚かされたのは10月、信和ゴルフの民事再生法申請だった。
というのも信和ゴルフは、RCCとの間で再建計画に合意し、自主再建を図っている途上であったからだ。ハワイ5コースの売却、経営者の個人資産の提出などもあるが、毎年6億5000万円を12年間にわたりRCCに返済するという内容で、その他についてはRCCが債権放棄するという初のケース。しかしながら、これに納得のできない会員らがグループ会社の破産を申し立てるなどが相次ぎ、結局、民事再生という法的整理による再建となった。
専業ではないが産業再生機構の支援の決まった大京グループは9月、子会社である鳩山CC、東庄GCの運営会社の民事再生法を申請。また大京オープンの舞台であった沖縄の大京CCも売却し、ゴルフ場事業からは完全撤退する方針だ。ゴルフ場自体は優良の人気コースが多いため、外資や日本企業も含めて買収にはし烈な戦いが予想されている。
10月には、実質国有化されたりそな銀行系列の奥武蔵CCも民事再生申請。りそな銀行の経営悪化から退会希望者が急増、りそな銀行からの借入れで対応してきたものの、実質国有化されたため借入れもできなくなったのが理由である。
このように本業の経営不振から撤退するケースばかりではなく、04年は大手企業のゴルフ場事業からの撤退が相次いでいる。大手ゼネコンの清水建設は白河GCを地元福島県の大信村に無償譲渡。三菱商事は茂原CCを解散し、大手コンピュータソフトメーカーの役員に売却するほか、三菱商事と三菱地所の保有する岡山県の久米CCも、冷凍食品大手の加ト吉への売却が決まっている。
そんな中、三井不動産は系列のゴルフ場4コースについて、「230億円の減損処理の早期実施を行う」と発表した。平成18年3月期から、上場企業には「固定資産の減損会計」が義務づけられることになる。すでに株式など有価証券は時価会計となっているが、不動産についても時価で示せというものだ。新しいゴルフ場の場合、取得価格よりも時価が低くなっていることが多く、これが上場企業の株価にも悪影響を及ぼすことが懸念されている。三井不動産はこれを1年前倒しでやるわけだが、05年以降は、上場企業所有のゴルフ場が、市場に流れ出す可能性が噂されている。
株価がらみでいえば、有価証券報告書虚偽記載で東証一部上場廃止となった西武鉄道。その親会社であるコクドの所有する系列コースも、外資を含めた買収先には垂涎の的。
ゴルフ場倒産が相次ぐ中、その一方、ゴルフ場事業に積極的な日本企業も現れ始めており、05年もゴルフ業界の売買は、例年にも増して活発な展開を見せそうである。
|