この1~2年、外資を中心に国内ゴルフ場の系列化が大きく進み出した。系列100コースを視野に、それに沿った体制を準備するグループもある。そうしたなか、巨大グループのスケールメリットを活かした新サービスが現れた。
現在、78コースを系列化に置くアコーディア・ゴルフでは、転勤等で在籍するゴルフ場から遠く離れた遠隔地に転居した会員のために、4月1日から新たに「転勤者・遠隔地優遇制度」を実施することになった。
同制度は、同グループのゴルフ場に3年以上在籍している個人会員が、転勤等で遠隔地に転居した場合、その転居先近くのグループのゴルフ場に、規定の年会費を納めることで、会員並み料金でプレーできるようになるという特別優遇制度。
これに登録した会員は、現・在籍クラブの会員資格は保持したまま(年会費は半額収めなければならない)、転勤者は最長3年間、遠隔地居住者(旧住所から200キロ以上離れていることが原則)は最長5年間、転居先近くの希望するグループコースで、いわば特別会員としてプレーできることになる。
いかにも、全国をほぼネットワークした同グループならではの、スケールメリットを活かした会員サービスだが、同社では
「実際に、会員さんからのご相談があって設けられた制度です。ですから、始まれば希望される方は少なからずいらっしゃると思います」(広報担当・古川康子さん)
確かに、今の日本では、社内事情による転勤はもちろん、転職などで一時的に転居を余儀なくされる人は少なくない。そうした人が、いずれ元の土地に戻ろうというのであれば、ありがたい制度に違いない。
「今後も、会員さんの声を聞きながら、スケールメリットを活かしたサービスを心がけて行こうと思います」(古川さん)
実は、同社ではグループ内ゴルフ場の個人会員(3年以上在籍が条件)が、同じグループ内の他の会員権を市場で購入した場合、名変料を一律30パーセント割引するという、これまたグループコースの多さを武器にしたサービスを同じく4月1日から実施する。
さて、こうした新制度に対して、ゴルフ場運営のアドバイザーを務める菊地英樹氏は、「巨大グループならではの利点、アドバンテージを活用した運営ですね。そして、従来の硬直化したクラブ運営から、会員のニーズにはフレキシブルに制度を変更して応えていこうという姿勢が感じられますね」と一応の評価を下したうえで、「転勤者・遠隔者制度」に関しては、実施してみないと効果の程は分からないのでは、とも語る。
「というのは、料金面だけが魅力のサービスならば、今や低料金でプレーできるコースがたくさんあるので、納める年会費との比較になるでしょうから。あとは、特別会員としてのどんな特典、付加価値が用意されているのか。そちらの問題が大きく左右すると思います」
もしも、アコーディア・ゴルフの同制度に多くの申込みがあった場合は、他のゴルフ場でも制度の見直しが図られるべきなのかも知れない。
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