05年になったばかりだが、3年後の08年が、すでにゴルフ界の話題になっている。08年といえば、ドライバーの反発係数の上限が0.830に制限される年。それまでまだ3年もあるのだが、そうのんびりもしていられないのが、クラブメーカーの実情のようだ。
日本ゴルフ用品協会(JGAA)は昨年秋、各メーカーに対して今後生産される新モデルについては、ヘッドに「08年規制」適合か不適合かを、出来るだけ早く表示することを要望。その表示のガイドラインを通達した。
具体的には、シールまたは刻印で、08年規制不適合クラブには「07年末迄SLEルール適合」、同適合には「SLEルール適合」と表示。併せて、輸出される場合に備えて、同内容の英文表示も求めている。ちなみに、SLEとはスプリング効果(SPRING LIKE EFFECT)の略である。また、シール表示の場合は、不適合は赤、適合は青もしくは緑で印刷することもガイドラインに載せている。
さらに、カタログやパンフレットでも、今後は適合・不適合を明確に説明する文面を加えることを求めている。
こうした要望は、上級者に3年ごとにドライバーを買い換えるゴルファーが多いという背景があるようだ。そのため3年前の今から、適合・不適合を認知してもらったうえで購入されなければ、いざ08年になって「てっきり適合クラブだと思って買っていたよ」などという混乱が起きかねないからだ。
ところで、メーカー側の反応だが、「どのメーカーさんも対応していただいているようです」(JGGA事務局)と語るように、各社ともこの要望に沿った表示を準備もしくは実施している。
「以前から同様の表示をシュリンク(保護フィルム)の上にシールで貼っていましたが、05年モデルからは、あわせてヘッドに直接、転写マーク(プリント)でも表示します」(ミズノ広報宣伝部・西田維作氏)
SRIスポーツも新モデルからはシール添付とヘッドに直接、レーザー印字でも表示する。「継続モデルについても、順次表示するようになります」(広報部・藤田英明氏)
また、マルマンゴルフは新モデルからシール貼付を実施。ただし、継続モデルについては、「市場の反応を見ながら決めることになります」(マルマンゴルフ宣伝部・大塚賢二氏)とのこと。市場の反応というのは、店頭に表示のないドライバーが混ざることで、ショップもしくは顧客に混乱が起きた場合とのことだ。
しかし、ある業界関係者によれば、「混乱というなら、表示の文面に問題がある」と指摘する。というのは、08年規制適合・不適合の表示なのに、不適合クラブも「不適合」ではなく、「07年末迄SLEルール適合」と婉曲な表示がされているからだ。確かに紛らわしい。
さらに、「混乱を予防するためにも、業界全体で08年規制とその意味を今からもっと周知徹底させることが必要でしょう」と心配する。
確かに同規制に対する一般の認識はまだ甘いのが現実。そして、その甘さゆえ、いざ店頭でドライバーを見て同規制の意味を知ったとき、迷いが生まれ、買い控えにつながるかも知れない。市場の反応がまったく読めないというのが、メーカー側にとって本当のところのようだ。
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