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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/15
2005/2/9更新
高性能チタン、カーボン、マグネシウム等など
「素材のデパート」と呼ばれる最新ヘッド事情
 我々がチタンと呼んでいるのはチタン合金の総称で、中身は千差万別。ゴルフクラブ用として20種類近いチタン合金が存在する。そして今年も、さらに高性能なチタン合金を売り物にする新モデルが登場してきた。

「生チタン」というユニークなネーミングで登場したのはミズノのJPXドライバーだ。フェース素材として採用されたのは、Ti-15Mo-3Alというゴルフクラブ用に新しく開発されたβ系チタン合金。「生」はその製法に由来する。通常のチタン合金は高温での焼き入れにより材質が硬化してしまうが、「生チタン」は、板材への加工が冷間圧延、フェースへの成形も冷間プレスという高熱を加えない製法で作られる。また、従来の素材から、粒子の大きなジルコニアを抜いたことで、チタン合金の中ではずば抜けてたわみ量が大きい。さらにこの素材特性を生かすために「あえて低重心をねらわず、高反発に特化した設計」(ミズノ広報宣伝部/西田維作氏)というだけあって、ヘッドスピードが40~45m/sの人にとっては、初速の違いを実感できる設計になっている。

「生チタン」のインパクトは強烈で、滑り出しは絶好調。松坂屋名古屋店でも販売本数でゼクシオを抜いてトップに躍り出た。

「堅実で他地区より動きが1カ月遅いといわれる名古屋のゴルファーが飛びついたのも、生チタンという言葉が分かりやすく、飛びに直結するイメージがあるため」(ゴルフ用品売場/竹下久係長)とまさしく新素材効果が現れている。

 同じ新素材でもメーカーによってアプローチは異なる。ブリヂストンのニューXドライブに採用された「スーパーアクティブチタン」は、反発性能を高めつつ軽量化が図られたチタン合金だ。「従来のβチタン合金は反発力を求めて薄肉化を追求してきたため比重が犠牲になってきた。しかしフェースが大型化すると重量は無視できない」(ブリヂストンスポーツ・クラブ企画部/長谷部祐)というのが開発の理由だ。

「スーパーアクティブチタン」は、従来よりも低い温度で焼き入れすることで薄肉化に耐えられる十分な強度と軽量を両立しており、「設計自由度が大きくなり、打感もよい。総合的な性能を高めるにはベストバランスな素材」(長谷部氏)として今後、他の製品にも採用される可能性が高い。

 一方、カーボンコンポジットならぬチタンコンポジットといわれるカテゴリーも注目されている。これまでもフェースとボディで異なるチタン合金を使うドライバーが一般的だったが、チタンコンポジットはさらに仕様部位に応じて数種類のチタン合金を使い分けている。

 マグレガーのマックテックNVGは、クラウン部に極薄のβチタン材を用い、カーボンクラウンと同等の低重心化を実現したもの。ミズノJPXもこの部類に入り、生チタン、β系チタン合金、純チタンと3種類のチタン素材、7つのパーツで構成される凝った作りをしている。また、クラウンに実用金属で最も軽いマグネシウムの合金を採用したゼクシオプライムもある。カーボンではなく高価なマグネシウムをあえて使ったのは「カーボンは音が鈍くなる」という理由から。その代わりボディの両サイドにカーボンが使われており、まさに適材適所、素材のデパートといった感がある。

 チタン材のトップメーカーで、「生チタン」を開発した神戸製鋼所のチタン技術部の安井健一部長に今後のチタンの可能性について聞いてみた。

「チタンは材料の配合でまったく異なる性質に作ることができるし、β系合金は加工後の熱処理でも性質が変わるため、チタン合金はまだまだ大きな可能性を持っている。当社でも高反発規制を見据えた素材開発を行っており、その一つが軽量化。また、β合金に使われるバナジウムやモリブデンは高価なので、より安価で性能の高いチタン合金の開発も目指しています」

 08年の高反発規制をはさんでクラブ業界が混迷の時代を迎えることは想像に難くない。チタンだから飛ぶ時代から、チタンがどこにどう使われているか、ユーザーが見極めなければいけない時代に差しかかっている。

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