先週(1月27~30日)米穀のフロリダ州オーランドで開催されたPGA用品ショー。今年はピン、タイトリスト、テーラーメイド等の大手メーカーが不参加だったが、ほぼ盛況のうちに閉幕した。しかし、一般ゴルファーにとっては、ショー自体よりも実際に使うクラブ用品の方が気がかりだ。
今年の米用品界のトレンドをひと言でいえば「ハイブリッド・クラブ」と「ウェートコントロール・ドライバー」ということになるだろう。
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ハミルトンの全英優勝で火がついた |
ハイブリッドというのは、直訳すると「雑種」とか「混成物」という意味だが、米国ではいわゆるユーティリティ・クラブのことを指す。昨年の全英オープンでT・ハミルトンが、ソナーテック(ロイヤルコレクション)のハイブリッド・クラブを使用して優勝したことから、俄然注目を集めた。各社がこぞって新製品を発表し、人気に火がついたのだ。
いわゆるユーティリティ・クラブ自体は今に始まったものではなく、日本では10年ほど前から普及し始めているし、米国でもテーラーメイドがレスキューを99年のPGAショーで発表してから、そこそこ知られるようにはなった。しかし、米国では昨年から人気が出始め、フェアウェイウッド系クラブの売り上げの14パーセントをハイブリット・クラブが占めており、前年比で90パーセント近い伸び率となっている。
プロのトーナメントでも昨年末のシニア・チャンピオンズツアーで、出場78名中39名、約半数がハイブリット・クラブを使用していた。またPGAツアーでも、常にバッグに入れているわけではないが、約35パーセントのプレーヤーが手にしていると言われる。例えば03年全米オープン優勝のJ・フューリックも昨年のマスターズで初めてハイブリッド・クラブを使用した。ホーガンのCFTやソナーテックのドライビング・キャビティについて、「打ちやすいし、ボールを高く上げやすい。ハンディ10前後のプレーヤーには、最高のクラブだと思うよ」と述べている。
ハイブリット・クラブには、それ専用のシャフトも必要となるため、フジクラを始めとしたシャフトメーカー各社もこうしたハイブリットブームの恩恵を受けており、用品界全体に与える影響も馬鹿にならない。
もう一つのトレンドである「ウェートコントロール・ドライバー」は、ご存知の通りテーラーメイドのr7クワッドが火をつけたもの。同社ではr7クワッドhtという同じコンセプトの新製品を発表したが、アダムスゴルフでも、やはり4箇所でウェートコントロールが出来るレッドラインRPMという新製品を出している。錘でバランスを変えられるというアイデア自体は、昨年に発表されたものだが、ただ飛ばすだけでなく、ボールの方向性や弾道の高さを求める現在のゴルファーの要求にマッチした設計と言えるだろう。
同じようにハイブリッド・クラブも飛距離を出すだけでなく、弾道や方向性を志向したクラブだ。取り立てて目新しいギアは目に付かなかったが、全体的により質の高いものが多く出回ってきているのは間違いなさそうだ。
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