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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/22
2005/2/17更新
ゴルフ場の偽造カード事件に端を発した
キャッシュカードIC化は「いまだメド立たず」
 偽造キャッシュカードによる預金搾取被害の深刻さに注目が集まる一方で、銀行の対応は鈍く、とてもアテに出来る状態ではない。自己防衛はどこまで可能なのだろうか。

 偽造キャッシュカードで、アカの他人に大切な預金を搾取されてしまう被害は、1年以上前から折に触れ、マスコミでも取り上げられてきたが、ここへ来て俄然世論が盛り上がったきっかけは、何と言っても今回のレイクウッドGC富岡コースの遠山秀樹支配人の逮捕だろう。

 普通預金の1日の引き出し可能額が、個人事業主への配慮から数百万円レベルに設定されている上、相当以前からその必要性が叫ばれながら、不良債権処理で精一杯の日本の銀行には、キャッシュカードのIC化に伴うシステム投資負担に耐える体力はなかった。

 そんな日本の銀行の急所を突かれたような犯罪だけに、社会の批判に晒されても銀行の対応はなおも鈍い。

「最大のカベは全銀ネット。体力のある大手銀行や優良銀行が独自に対応するだけでは意味がない。郵貯も含めてATMを持つ全金融機関が同時に対応しなくてはならないが、小規模な金融機関や体力のないところはとてもじゃないが対応出来ない」(金融機関のシステムに詳しい専門家)。

 どこの金融機関に口座を持っていても、全国どこのATMからでも預金が引き出せるのは、全銀ネットという、ほぼすべての金融機関が加盟しているネットワークがあればこそだ。従って、生体認証のキャッシュカードやICカード対応のATMは、すべての全銀ネット加盟金融機関で一斉導入するか、そうでなければ対応のATMが設置されている店舗でしか預金をおろせないように制限するしかない。

 全国銀行協会がICカード化を出来るだけ早急に導入する、というコメントを発表した際、ある報道番組のコメンテーターが、「こんなときばっかり横並び」だと批判していたが、こればかりは横並びにせざるを得ないのだ。

 しかも銀行のシステムは複雑なので、何か新しい機能を付加すると、システムトラブルが生じる可能性が極めて高い。一日の引き出し限度額を引き下げられるソフトを組み込むだけでも、かなりの負担になるというのが実情だ。カード会社が導入している、異常な取引を関知するソフトの導入もまたしかり。

 こうなると、個々人の預金者に出来る対策で最も有効なのは、被害を最小限度に抑えるために、日常的に出し入れする、キャッシュカードを頻繁に使う銀行に、定期預金を置いておかないことだろう。暗証番号を頻繁に変更すると言っても、これまでの被害は暗証番号を盗まれてから2~3分後に発生しているので、あまり意味がない。

 引き落としがかかった際に、残高が不足していると定期預金を担保に自動融資をしてくれる総合口座は便利だが、あえてこの自動融資を解約しておくことも重要だ。ヘタをすると、口座にある預金を引き出されるだけでなく、借金まで背負わされてしまうからだ。

 このほか、コンビニや、人気のないATMコーナーなど、暗証番号をのぞき込まれても気が付きにくい場所での預金の引き出しを控える、といったことも必要になる。

 もっとも、ICカード化はすぐにはムリでも、ATMコーナーのパーテーションを改善するぐらいすぐに出来るはずだ。例えばマシン間の間仕切りの奥行きを広げ、アメリカのトイレのドアのような、手元が見えない程度の簡単なドアを付けるぐらいのコストが負担出来ないわけがない。

 ところで、日本のゴルフ場では、貴重品は必ずセーフティボックスに入れる様指導しているが、海外のコースで頻繁にプレーをしているゴルファーからは、「そもそも欧米人には貴重品をセーフティボックスに預けるなどという発想はない。複数のカードや、多額のキャッシュを持ち歩く日本人と違って、欧米人のサイフは小さいからズボンのポケットに入れてラウンドしている。」という声も聞かれる。

 セカンドバッグ満杯の貴重品を持ち歩くからこそ、セーフティボックスのお世話にならざるを得なくなる。コースに持ち込む貴重品の数を最小限度に減らし、プレー中も身につけることが、いま出来る最善の自己防衛策と言えそうだ。

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