弾道をチューニングできるドライバーr7クワッドに続き、今度は同じウェートカートリッジの交換でボールの転がりをチューニングできるパター、ロッサVTモンザを発売したのはテーラーメイド。同様にウェート調整可能なパターは、ウイルソンやベティナルディからも登場しており、ネオマレットに次ぐパターデザインのトレンドとなりそうだ。
2002年に発売されて以来、パター市場で一人勝ちを収めてきたのがオデッセイ2ボールだ。オデッセイブランドのシェアは日本国内で50パーセントを超えるといわれ、その中でも2ボールの占める割合が圧倒的に多い。
2ボールブレード、DFX、ホワイトスチールなどヘッド形状やフェースインサートを変えたバリエーションモデルを投入し、ゴルファーの様々な好みに対応してきたこと、ソレンスタムはじめツアーで多くの結果を残してきたことなど、2ボールの強さにはいろいろな理由が挙げられている。
その2ボールに対し、今年新たに登場してきた新コンセプトパターはオデッセイの牙城を切り崩すことができるのだろうか。
「販売面では意識するが、開発段階では2ボールを意識したものではない」(テーラーメイドプロダクトマーケティング担当/小野裕次氏)というVTモンザは、2グラムから14グラムまで7種類のウェートカートリッジを交換することで、重量と重心深度を調整し、ボール転がりをチューニングすることができる独創性に富んだパターだ。「300~400グラム近いものまで重さはプロでもバラバラ。パターほど使い手の感性が違うクラブはないが、どんなゴルファーにもジャストフィットするパター」(同氏)というのがVTモンザの開発コンセプトだ。
VTモンザは、発売直後にピークを迎える従来パターの売れ方と異なり、日を追うにつれ徐々に販売数を伸ばす動きを見せており、「コンセプトが徐々にお客様に理解されつつあるのでは」と同社でも手応えを感じている様子がうかがえる。
ベティナルディの「PX-5」も同じようなコンセプトで作られているが、こちらは交換可能なソールのウェートの他、フェース面の両サイドにもウェートが装着されており、重心位置が深くなりすぎないようにしている。「PX-5」も2月初めの初回出荷分が完売し入荷待ちのショップが出るなど上々の滑り出しを見せている。
また、ソールプレートとグリップ側のウェートの両方をアジャスタブルとし、18通りのチューニングを可能としているのは4月に発売予定の「ウイルソンスタッフkcパター」。「ヘッド重量を変えるだけでなく、全体のバランスを細かく調整することでより多くのゴルファーにフィッティングできる」。さらに1歩進めたコンセプトを強調するのはアメアスポーツジャパンゴルフ事業部の吉本浩氏だ。
新コンセプトパターに対するゴルファーの反応は敏感だ。
「お客様はまず目新しさにひかれるようです。カスタムクラブが注目されている中、セルフでカスタムできる点も訴求力が高い。1組全員2ボールだったという笑い話も珍しくなくなり、あえてピンタイプに戻すゴルファーも出てきています。新コンセプトパターは、そろそろ他人と違うものを使いたいというニーズにぴったりはまった」(ゴルフニューオーシカ/大鹿壽一社長)
本誌テスターとしてもおなじみの平野浩作プロも、
「VTモンザやPX-5ならば、フィーリングを変えずにボールの転がりだけを調整できるので鉛を貼るよりも簡単。グリーンの速さに対応できないアマチュアにはメリットが大きい。また、kcのようなコンセプトならば気に入った形のヘッドで重量が合わないケースも解消できます」とメリットを強調する。
いまあるパターの形状を変えずに、多くのメリットを引き出せる新コンセプトパターが、ゴルファーの心をつかむ可能性は高いだろう。
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