「アイとルイ」------日本の若手コンビが第1回大会で華々しい優勝を飾った女子のワールドカップ。日本では、深夜にもかかわらず、最終日の視聴率が平均で10.9パーセント(ビデオリサーチ調べ)という異例の注目を集めたが、現地のマスコミは言うに及ばず、世界中のメディアも大々的にこのニュースを取りあげた。
なかには、北田瑠衣の写真を宮里藍と表記するご愛嬌(?)記事も見られたが、最終日にベストスコアを叩き出した宮里藍に対する評価は、想像以上に高いものだった。「日本の藍ちゃん」が、「世界のAI」になったと言っても過言ではない。その報道ぶりを世界のメディアから拾ってみると……。
今回が初の開催になった女子のワールドカップについて、やはりもっとも扱いの大きかったのは、会場となった南アフリカの新聞だった。
例えば、ヨハネスバーグの地元新聞『スター紙』はこう記している。
「アイ・ミヤザトのスウィングは、教科書どおりにパーフェクト。昨年、彼女は日本で初めてのツアー1年間で、100万ドルを稼いだティーンエージャーとなった。この19歳のアイ・ミヤザトは、彗星のようにトップに駆け上がってきた。彼女の父親はプロのコーチで、二人の兄弟もツアープロになっているという。それだけに、彼女の父親は凄いコーチであるに違いない。なにしろ、彼女は今後数年間、世界の女子ゴルフ界を席巻してゆくと予想されるからだ」
試合内容もほどほどに、宮里藍を手放しで誉めていた。
またゴルフの本場、英国では、ゴルフ専門のウェブサイト『ゴルフトゥデー』が、宮里藍がワールドカップで優勝した後に、オーストラリアのANZレディス・マスターズに出場することを伝えるとともに、「彼女は本当に特別な存在だ」と語る同大会を運営するボブ・トゥーフィ氏の言葉を掲載。話題を次の試合であるオーストラリアにまで飛び火させている。
宮里に対する評価も、「彼女は、まだ19歳。すでに女子ゴルフ界のタイガー・ウッズと言われている15歳の韓国系アメリカ人、ミッシェル・ウィは、将来の女子ゴルフにおいてもっとも輝いたスターとなるといわれているが、宮里もすでにその実力を証明しているし、ゴルフ界に恩恵をもたらしている」 とコメントしている。
そればかりか「昨秋、日本でタイガー・ウッズが出場したダンロップ・フェニックスよりも、宮里藍が出場した女子の試合のほうが、TV視聴率が上だった」というエピソードまで紹介している。
一方、アメリカの新聞報道はというと、ここまでトーンが高くはない。というのも、この週、男子ツアーのペブルビーチでP・ミケルソンが初めて2週連続優勝を果たした上に、今回の女子ワールドカップで、アメリカチームが振るわなかったことから、大会自体の扱いは小さかった。多くの新聞が、女子ワールドカップに関しては、アソシエートプレス(AP)やロイターの配信ニュースをそのまま載せているところが多かったのが実情だ。
それでも「ティーンエージ・センセーション!」とか「アイ・ミヤザトは、スターとしての上昇をさらに続けている」といった見出しや内容で、宮里のプレーについては、ベタ誉め。
「難関コースの難しいコンディションで、67のコースレコードを出した」とか「最終日の平均ストローク数より10打も少なかった」とか、宮里の凄さをしっかり紹介している。
ある意味では、将来、宮里が米女子ツアーに参戦するのを見越して、いま不振の米女子ゴルフ界の人気を日本同様、若手プレーヤーの人気で復活させたいといった意識が働いているようだ。
他の国と同じように、米国でも外人プレーヤーに対する人気はいまひとつ盛り上がりを欠くのだが、こと若いプレーヤーに対してだけは、応援して、温かく見守る国民性がある。
いずれにしても、「ナショナル・ネームになった」とまではいえなくとも、世界のゴルフ界で「アイ・ミヤザト」の名前が大きく知れ渡ったことだけは、間違いない。
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