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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 3/8
2005/3/2更新
今年も止まらないゴルフ場の大型倒産
負債2459億円でシンコーが民事再生へ
 2月10日、関西を中心に6コース、126ホールを展開する株式会社シンコーとグループ3社が、大阪地裁に民事再生法を申請した。

 負債総額は約2459億円、うち会員から集めた預託金は約1400億円。うちシンコー単体での負債は、約2020億円。ゴルフ場開発や不動産取得を手がける関連会社への貸付金が膨らむ一方、償還請求の圧力が高まり、法的整理に踏み切ったものと見られる。

 民事再生に踏み切ったのは、奈良若草CC(奈良)、サンリゾートCC(和歌山)、ロータリーGC(兵庫)を経営する株式会社シンコー(松本敏博代表)の他、いずれも同名のゴルフ場を経営する三木セブンハンドレッド倶楽部株式会社、六甲カントリー倶楽部株式会社(ともに兵庫)、グリーンハイランドカントリー倶楽部株式会社(三重)の3社。

 シンコーはゴルフ場開発、経営を目的に1972年に創業、75年、グリーンハイランドCCをオープンさせた。その後、79年に三木セブンハンドレッドC、86年に六甲CC、さらにバブル崩壊後の平成年間に入っても、90年に奈良若草CC、92年にロータリーGC、93年にはサンリゾートCCと次々とオープンさせてきた。サンリゾートをオープンした93年の売上高は、グループ全体で約107億円を計上した。

 ところがこれをピークに、積極経営にも翳りが出始める。翌94年には兵庫に造成中だった迎賓館GC(兵庫)を、工事代金未払いのために建設会社に売却。さらに00年にはオーストラリアに所有していたホープアイランドGCも、地元企業に売却した。

 関連会社を含むゴルフ場開発やその他の不動産取得のための借入金が銀行破たんにより整理回収機構などに譲渡され、資金繰りの悪化も表面化した。加えてゴルフ不況により入場者数が激減、周辺との競争により客単価も減少。00年には奈良若草CCがPGAフィランスロピーの開催コースとなったが、経営を好転させるまでには至らなかった。

 その結果、03年12月期の売上高は、ピーク時である10年前の93年同期に比べて半減以下の約47億8100万円までに落ち込んでいた。不動産の売却やゴルフ場のリストラを進めてきたものの、民事再生申請時点で81億6000万円の債務超過に陥っていた。そこに会員からの相次ぐ償還請求が追い討ちをかけ、今回の民事再生法申請となったと見られる。

 さて、シンコーグループといえば、かつてはコスモワールドグループの総帥、熊取谷(いすたに)稔氏が経営に関わったことでも知られる。コスモワールドというより、ゴルフ場関係者にはGCE(ゼネラル・コースト・エンタープライズ)グループといった方が馴染みも深いだろう。

 オリムピックCC(山梨)など国内10コースを展開する他、バブル期に過去に2度全米オープンの会場にもなった、名門・ぺブルビーチGLを買収した日本企業として知られる。

 また総帥の熊取谷氏は、リクルート事件では真藤恒元NTT社長のスポンサーとして取り沙汰され、イトマン事件や則定衛東京高検検事長スキャンダル事件でも名前の上がった人物。実際にシンコーでは、実兄の熊取谷茂氏が、「病気により仕事ができる状態でなくなり、昨年中に役員を退任しています」(今回の民事再生の申請代理人の一人である中西敏彰弁護士)と、昨年まで経営に携わっていたという関係でもある。

 そんなこともあり、「金融機関の不良債権処理が本格化し、最後のバブル紳士たちの粛清が始まった」(ある金融ジャーナリスト)との冷ややかな見方もある一方、今回、民事再生を申請した4社の代表が古くからグループの役員に名を連ねていることもあり、「自主再建のための民事再生ではないか」(あるゴルフ場関係者)との見方も。

 自主再建になるのか、スポンサー型再建になるのか。はたまた会員権の保障の内容は?

 この点について前出の中西弁護士は、「コースごと3月上旬までに会員説明会を開催する予定です。ゴルフ場ごとにいい形での再建を目指すという方針ですが、それ以上のことは現時点では発表できる段階にはありません」としている。

 関西を中心に高級コースも多いだけに、今後の会員説明会、そして再生計画に注目したい。

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