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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/15
2005/3/9更新
前代未聞の36H短縮、グーセンの失格騒動など
異常事態続きに「拍子抜けした」ニッサンオープン
 豪雨の影響で、わずか36ホールの試合に短縮されたニッサン・オープン。ロサンゼルスでは、1883年以来の大雨ということだが、まさに異常ともいえる事態が続いた。


寝坊で「失格」しちゃった
 72ホール競われるはずの大会が、半分の36ホールに短縮されるというのは、名門リビエラCCで行われるこの大会、78年の歴史で初めてのこと。トム・カイトが優勝した93年に、この試合は54ホールに短縮されたことがあり、またPGAツアーでは、96年にやはりカリフォルニアで開催されたビュイック・チャレンジが、36ホールに短縮されたことがある。

 しかし今回のように、月曜日の予備日にまで持ち越し、しかもプレーが出来ずに36ホールになってしまったというのは、PGAツアーでも記憶にない事態となった。

 試合は結局、金曜日に第2ラウンドを終えたチャド・キャンベルと日曜日の最終ホールでバーディをとって9アンダーとしたアダム・スコットが、月曜日にプレーオフをして、スコットが勝負を決めた。

「タフで、異常なウィークだった。でも勝ちは勝ちさ。それにしても、豪雨による長い中断で、ロッカールームで時間をつぶすのに飽き飽きした」と、スコットはこの1週間を振り返った。

 36ホールで終了、という異常事態は、この大会4位以内で世界一に返り咲くはずだったタイガー・ウッズにとって、巻き返しのチャンスを奪う形になった。また、米ツアーで初めて予選通過を果たした日本の谷原秀人が、決勝ラウンドを体験することなく大会を終了するというなんとも「拍子抜け」な結果を招いている。

 さらに、注目すべき点は、スコットの優勝が「非公式扱い」になったことだ。

「スコットが稼いだ86万4000ドルは、オフィシャルマネーとしてカウントされるが、公式試合の勝利記録としては認められない。つまり、今後の試合で優勝しなければ、チャンピオンだけが出場できる来年の開幕戦・メルセデス選手権の出場資格もないし、2年間のシードも与えられることはない」(PGAツアー広報部)という。

 つまり、金はフルで与えるが、勝利の名誉は与えられないということになり、日本のシステムとは少しばかり様子が違う。

 日本と異なるという点では、ちょっと変わった事件が、このニッサンオープンの水曜日に起きている。

 じつは、この試合のプロアマ戦で、ワールドランキング5位のR・グーセンがスタート時間に間に合わず、失格になっていたのだ。それもプロアマ戦だけでなく、本選への出場資格も失っているというのだから、ビックリ。

「グーセンは、これまでにツアーで1度も問題を起こしたことがない理想的なプレーヤーだが、今回は寝過ごしてしまったようだ。彼がリクエストしていた6時40分のスタート時間に姿を見せなかった。ウェイクアップ・コールがなく、ただ単に寝過ごして間に合わなかっただけだが、その結果に対しては、やはりツケを払わなくてはならない」(PGAツアールール委員M・ラッセル氏)

 その結果、同大会ではワールドランキングのトップ10に入っているのが、T・ウッズ(2位)とM・ウィアー(6位)だけだったにも係わらず、5位のグーセンの「本選失格」という厳しい処置が取られた。

 日本では、プロアマ戦はややもすると軽視されがちだが、PGAツアーでは、寄付金などを集めるために試合を開催している、NPO活動だ。だから、寄付金集めに大きな役割を果たすプロアマ戦は、重要な試合の一環として位置づけられている。

 まして、PGAは今年中に過去累計の寄付金額10億ドル達成を目標に掲げる「ドライブ・ツー・ビリオンダラー」というキャンペーンを始めたばかり。その影響で、例えトッププロでもプロアマ戦の無断欠場には、厳しいペナルティが必要という判断が下されたようだ。

 ある意味では、ゴルフは名誉のスポーツ。約束を守らなければ、その分、ペナルティも大きいし、また試合がフルに行われなければ、金は出しても名誉までは与えられないということだろう。今年のニッサンオープンは、米ツアーの基本的な姿勢が、計らずも明らかになった試合だったといえそうだ。

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