出展189社を数え史上最大規模となった今年のジャパンゴルフフェア。08年からのSLEルール施行に先立ち、JGAが主催競技で06年から前倒し規制を発表、LPGAもこれに追随するなど関係団体の動きが慌ただしくなる中、メーカーの動向が注目された。
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高反発に対する「前倒し規制」がメーカーに影響を及ぼしそう
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ルール適合ドライバーにいち早くスイッチしたのはヨネックス。同社の新ドライバー、サイバースターナノブイの売り物は、ルール対応とはいえ、やはり飛びだ。サイバースターナノブイは、ヘッドのクラウン部にナノテクを応用したフラーレンとトヨタ自動車が開発した新素材ゴムメタルを採用し、軽量化と大きなしなり戻りを実現、より大きな打ち出し角と低スピン化が期待できるというもの。また、フラーレンとゴムメタルはシャフトにも使われており、これによって1m/s程度のヘッドスピード向上が望めるという。
大手メーカーのほとんどがルール適合モデルへのシフトを見送る中、先行する形となった同社では、「秋までは高反発モデルと両面で開発を進めていました。しかし、お客様の買い替えサイクルが長くなっている現状をふまえ、3年後も安心して使っていただけるクラブを売るのがメーカーの責任と考えました」(同社企画宣伝部/根岸理恵さん)とその理由を説明する。
つるやもルール適合ドライバーを発表した。アクセルデュアルインパクトは、ヘッド後方のウェートのはたらきにより、ボールとヘッドの変形、復元のタイミングを一致させ、初速をアップさせる独自理論に基づいて設計され、ヘッドスピード40m/sのゴルファーで8~12ヤードの飛距離が伸びるとしている。また、シャフトの軽量化によりヘッドスピードを上げるという考え方はヨネックスと同様だ。
一方、高反発路線を維持するのはヤマハやミズノ。ヤマハは反発係数0・875以上という刺激的な宣伝文句で売り出されたインプレスDに続き、反発係数0・880以上を謳うインプレスGRXを発表した。「体力の落ちたシニア層など高反発ドライバーの需要はまだ高い」と自信を見せる。また、今年、主力モデルを一新したミズノのブースでも来場者の注目度が高かったのは、高反発素材「生チタン」でアピールする新ブランドJPXだ。
しかし、全体的にはことさら高反発を前面に出すメーカーは少なくなったのは確か。各メーカーとも、すでに水面下で低反発対応モデルの開発を始めており、遅くとも07年のゴルフフェアまでには各メーカーのルール適合ドライバーが出揃うと見られる。
ポスト高反発の一翼を担う技術としても注目されているのが異種金属の複合構造だ。ボディの一部にマグネシウム合金を使うゼクシオプライム、軽量チタン合金クラウンのマックテックNVGに続き、3種類の異種金属複合ヘッドで登場したのは2年ぶりにモデルチェンジされたミズノ・インテージX3。先代インテージ同様クラウンにマグネシウム合金を採用したほか、ソールのウェートに板状のベリリウムニッケルが採用されている。
これらの素材には「マグネシウムはカーボンに比べて加工しやすく微妙な形状に仕上げられるので、緻密な重心設計を行っている最近のクラブには適している。また、ベリリウムニッケルも、加工が難しく棒状のまま内部に装着したりビス状でねじ込むタングステンよりも、設計自由度が高い」(ミズノ広報宣伝部/西田維作氏)という利点がある。
また同シリーズのアイアンのキャビティ部分にはマグネシウム合金が制振材として使われており、今後クラブへの応用範囲が広がる可能性がある。
昨年、r7という隠し球を登場させ、ゴルファーを驚かせたテーラーメイドは、r7XRを登場させた。ウェートカートリッジを4個から2個に減らし、簡単にチューニングできるようしたもので、r7とカートリッジ固定式のr5の中間に位置するモデルだ。
また、ロイヤルコレクションのCVプロは、ヘッド後方の3個のウェートを交換してスピン量と弾道をチューニングするシステムを採用している。このほか、ダンロップのハイブリッドアドフォースのようにウェートの交換はできないが、デザイン上ウェートを目立たせることで機能をアピールするクラブが増えてきたのもr7以降の流れだろう。
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