ここ数年アニカの蔭に隠れ存在感が薄れつつあったカリー・ウェブが、地元オーストラリアのANZレディス・マスターズで優勝を飾った。しかも上り調子の宮里藍を圧倒的な力でねじ伏せ、完全復活を強烈にアピール。ここ数年パッとした活躍のなかったかつての賞金女王(過去3度のマネークイーンに輝いている)は「もうギャラリーにみっともないプレーは見せたくない」と語った。
------優勝おめでとうございます。
|
日本の女子プロはすでに「世界レベル」
|
「ありがとうございます。地元ということもあって重圧も感じましたが、優勝できて良かったです。アイは素晴らしいプレーヤー。そんな彼女に勝てた自分は ラッキーだと思います」
------勝負の決め手となったのは?
「やはり最終日の早い時期に(藍との)差を縮められたということ。それが大きかった」
------3番パー5でのイーグルは圧巻でした。
「あのイーグルは自分でも興奮しました。カラーからピッチングウェッジで約25ヤード。入るとは思っていなかったけれど、ラインに乗っていくのが見えてもしかしたら、と思ったらカップに吸い込まれて……。あれで勢いに乗れました」
------ここ数年、かつての世界ナンバー1プレーヤーとしては物足りない成績が続いたのでは?
「成績的には一昨年がランク11位、去年が9位でしたが、決して悪いプレーをしたつもりはありません。たとえば昨年はフェアウェイキープ率が10位で、 パーオン率は2位。これまでフェアウェイキープ率でベスト10以内に入ったことがないのでデータを見て自分でも驚いたくらい。問題はパッティング。でもそれが一番大事なんですけれどね」
------大会期間中もパーオン率は90パーセントを超えていました。
「ええ、アイアンはすごく調子がいいんです。特にプレッシャーがかかった最終日のバック9で思い通りの球を打てたことで昨年以上の手応えを感じています。精神的にも最近は意識的に感情を表に出さないようにしていて、その成果が徐々に表れているのではないでしょうか」
------では課題のパットを強化するため、オフシーズンに取り組んだことは?
「実はアマチュアの頃からのコーチ、ケルビン・ハーラーの他に、昨年の終わりからイアン・トリッグスという新しいコーチについて練習を始めました。もちろんケルビンは私にとって心の拠り所ですが、車椅子生活(脊椎損傷)なので、アメリカでプレーしているときは見てもらうことができませんでした。イアンは同じオーストラリア出身で、レイチェル(テスキ改めヘザリントン)のコーチでもあり人間的に信頼できる人。技術だけでなくメンタル面もサポートしてもらうようになりパッティングも少しづつ良くなっています」
------ということは再び女王を奪還する浴びる準備は整った?
「シーズンは始まったばかりでまだ何もと言えませんが、ファンにいいプレーを見てもらいたい、という気持ちでいっぱいです。もうみっともないプレーは見せたくない。負けて肩を落とす姿は見せたくない。結果は後からついてくるものですが、シーズンが始まったばかりのこの時期に勝てたことは自信になります。もうすぐクラフト・ナビスコ選手権が始まります。今季初メジャーに向けいい準備ができたんじゃないでしょうか」
------4日間のうち3日一緒にラウンドできたことを藍はすごく喜んでいましたが。
「彼女は本当に素晴らしいプレーヤーですね。才能があって人間的にもチャーミング。外国の雰囲気に溶け込もうと一生懸命努力しているし、英語も上手ですよ。これから先長い間世界の第一線で活躍できる可能性を持っています。だから今回少なくとも1回はアイに勝てたという実績を作れて良かった。マスコミにあれだけ追い回され、注目される中で自分をコントロールできるなんてすごいと思います。ゴルフを心から楽しんでいる姿にも共感します。日本のゴルフ界にとって希望の星ですね!」
------将来はライバルになり得る存在ですか?
「今もすでに手強い相手だと思っていますよ。早くアメリカで一緒に戦いたいです」
|