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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/29
2005/3/25更新
プレー権があるだけでは損益通算できない?
還付金返還を求められたゴルファーのケース
 確定申告から2年半も経って、税務署から更正通知が届き、還付金の返還を求められる------。昨年度いっぱいで廃止間違いなしと見られながら、土壇場でなんとか今年も継続になった、ゴルフ会員権の損益通算。しかしその税務上の運用は複雑を極めているようだ。

 ルーデンスカントリークラブ(群馬県)の会員権を持っていた本誌読者のA氏が、会員権業者に会員権を売却したのは、今から約3年前の平成13年12月。損失が出たので、翌平成14年3月の確定申告で損益通算を使い、4~5月頃還付金を受け取った。

 ところがその2年半後の昨年秋、A氏のもとに、税務署から「このゴルフ場では損益通算は出来ない」という連絡が入り、暮れに更正通知が届き、還付金の返還を求められた。

 ルーデンスカントリークラブの経営会社・昭和総合開発グループは、平成11年10月和議開始を申し立てたが、半年後に和議よりも計画可決条件がゆるい民事再生法が施行されたため、平成12年6月民事再生の申し立てに切り替え、平成13年7月、再生計画案が可決。4コースのうちルーデンスと小幡郷の2コースは第三者に営業譲渡され、新会社からプレー権のみの新会員権が発行されることになった。残る2コースは昭和総合開発の元で自主再建となったものの、結局再生計画案を履行できず、昨年8月破算宣告を受けた。

 A氏が会員権業者に売却したのは、昭和総合開発発行の会員権で、再生法に伴い営業譲渡先から発行された新券ではない。ただし、売却したのが民事再生認可後の移行期間中だったので、コースの会員名簿上では退会せずに営業譲渡先に移行を希望した、新会員という扱いになっていた。

「倒産コースは損益通算の対象にならないが、預託金証書の発行会社が民事再生や会社更生で再建されていれば損益通算の対象になる。ここで重要なのは、『プレー権が存続していても、預託金が100パーセントカットになっていると損益通算出来ない』という点」(所得税法に詳しい税理士)だ。

 しかも、営業譲渡による再建の場合、営業譲渡を受けた新会社が1円でも預託金を引き継いでいれば損益通算の対象になるが、プレー権だけではだめ。要するに、法人格がもとの預託金証書の発行会社と同一のまま再建していて、なおかつ0.1パーセントでも預託金が残っている場合か、営業譲渡型の再建で、プレー権もカット後の預託金債務も両方引き継いでいる場合しか、損益通算の対象にはならない。プレー権と預託金債権両方がそろっていないとだめなのだ。

 A氏のケースでは営業譲渡先が1円も預託金を引き継いでいないから、新券でも損益通算の対象外。しかもA氏の会員権は旧券。プレー権は第三者に引き渡してしまった会社の会員権だから、二重に対象外だったというわけだ。

 A氏は「本屋で売っているマネー雑誌にも、プレー権が残っていれば損益通算の対象になると書いてあるし、会員権業者からも売却当時そういう説明を受けた。今でもそう誤解している会員権業者やゴルファーは多いはず」と憤慨する。

 さらに、税務当局では平成15年7月から「預託金のカット率に合わせて取得価格もカット」という驚くべき運用を始めているのである。

 法人格が代わらず再建した場合でも、例えば額面300万円の会員権が95パーセントカットになると、取得価格は300万円ではなく15万円とみなされてしまうのだ。コース自体の人気でそこそこの相場がついていたりするケースだと、ヘタをすれば譲渡益が出てしまう。

「末端の所轄税務署単位では浸透していない様で、運が悪いと後から還付金を返せと言われる。新しい経済行為が登場するスピードに、税務署の対応が追いついていかない」(前出の税理士)。

 これでは後出しじゃんけんの様で納得出来ない。

 A氏は異議申し立てをする意向だが、泣く子も黙る税務署相手の戦いはしんどい。せめて「会員権業者だけは誤った知識でミスリードすることがないようにしてほしい」というのがA氏の切なる願いだ。

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