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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/5
2005/3/30更新
突然の災害時、いざというときはゴルフ場へ
被災者支援体制を整えるコースが増えている
 昨年の新潟中越地震を契機に、そして近い将来に起こるとされる東海・東南海地震を前に、このところ大地震に備えた官民の様々な取り組みが伝えられる。そうした中、災害時の緊急避難場所となるよう地元自治体と協定を結び、実際にそのための準備に着手するゴルフ場が増えている。


台風で倒木しても広いゴルフ場は安全な地帯

 栃木県の希望丘CCはこのほど、地元・茂木町に対し、災害時の緊急避難場所として同ゴルフ場の施設を提供、その備えを行ったことを通知した。

 これは98年に、県ゴルフ協会と地元自治体、消防本部、栃木県との間で、災害時協力として施設を提供する協定を結んだことによる措置。今回は、その協定に沿って具体的な準備を始めたもので、背景にはやはり昨年10月の新潟中越地震があった。

「もともと多くのゴルフ場は自家発電で、水は地下水、燃料の備蓄は十分ですし、駐車場やヘリポートになる広いスペースがあります」と語るのは、他に先んじて準備を進めた同CCの斉藤幸一社長。

 つまり、ゴルフ場には通信以外のライフラインは確保できる強みがあるということ。さらに、同CCでは今後、消防署との間に無線を確保することも検討しているそうだ。

 その上で、「ハウスには布団を敷ける広い場所があって、男女別のお風呂がある。だから、しっかりした地盤にあるゴルフ場なら、これほど避難場所にピッタリのところはないでしょう。学校より向いていますよ。だから、いざというときに地元の皆さんに安心感を与えられるよう、今のうちに宣言しておこうと思いまして……」と話す斉藤氏によれば、ロビーも含めハウス全体を開放すれば、500人の寝起きが可能になり、それに見合うだけの食材(2日間で計2000食分)を常備する体勢を整えたという。

 地元とのこうした協力関係は、全国的に広がっていきそうだ。

 茨城県のゴルフ場も先月、県との間で災害発生時に短期の避難場所となる内容の支援協力協定を結んだ。今後は各地区でに防災訓練や受入訓練を行うなどしながら、地元消防署と協議、実際に必要とされる備品等、準備の中身をつめていくという。

「うちでは2週間、避難場所として協力できるよう準備したいと思っています」と語るのは、県ゴルフ場協会の塚原裕会長(ザ・オーシャンGC社長)。

「ゴルフ場はどこも独立した、しっかりしたライフラインを備えているので、災害時には地元のお役に立てると思います。実際、新潟中越地震ではいくつかのゴルフ場が期せずして避難所になっていますから」

 そこで、実は塚本会長らは先日、新潟中越で避難場所となったゴルフ場を視察。その際の実情を調査したそうだ。

 その結果、新たに用意しなければならないものはほとんどないことが分かった。ただし、一番の問題はゴルフ場までのアクセスの確保で、その点では地元自治体との協力体制が今後の課題だと語る。

 このように大規模災害に備えて準備を進めるゴルフ場関係者の声を聞くと、一様にそれほどの手間ではないという自信のほどがうかがえた。

 ある関係者は、「日頃から、支配人の指示で数十人もの従業員がてきぱきと作業をしています。そうした機動力は恐らくお役所にはできない動きだと思いますよ。だから、避難場所としては学校よりもずっと優れているんじゃないですか」とも語る。

 いざというとき、ゴルフ場は案外心強い味方になってくれそうだ。

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