またもや日本のスーパー女子アマが世界に旋風を巻き起こした。4月の第1週にタイで行われた欧州女子ツアー・タイ女子オープン。18歳の諸見里しのぶが惜しくも優勝は逃したものの、1打差の3位タイと大健闘。勝てば、アメリカ、日本に次ぐ規模を持つ欧州女子プロツアーの4年のシード権を獲得できた諸見里。一挙に沖縄の先輩、宮里藍のように世界デビューを果たせる可能性もあったが……。
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世界で戦うのは楽しい
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------大会に対する意気込みはどうでしたか?
「初めてのヨーロピアンツアーということで、行く前はレベルがわからず不安でした。ただ練習ラウンドをしてみたら、苦手なコースじゃないな、と感じて。でも、最初はやはり予選通過が目標。初日は55位タイで、ちょっとナーバスに(笑)。2日目68で回って、12位タイまで行って、決勝ラウンドまで進めたら、だいぶ落ち着きましたね」
------3日目は、首位に3打差の5位につけましたが。
「タイのアマチュアの選手と回ったのですが、どうしてもローアマだけは獲りたいという気持ちでプレーしていました。相手が目の前にいるので、精神的に焦りの部分が出てきて。でも先にバーディを取ったら、気持ちも落ち着きました。昨年に比べて、焦りや気持ちのコントロールがだいぶできるようになったと思いますね」
------メンタル的に強くなったという感じ?
「そうですね。3月に先生(江連忠)に滝修行に連れていってもらったんです。すごい寒波の日で寒いし、怖いし滝に入る前は泣きそうになったんですが、入ってみたら意外に気持ちよくて(笑)。やろうと思えばなんでもできるという気持ちと、『みんなは滝修行やっていないんだから』という自信で、精神的に強くなった気がします」
------優勝には届かなかったけど、欧州ツアーで3位はすごいですね。
「最終日の18番に上がって、ボードを見て、初めて自分がトップだってわかったんです。3メートルのバーディパットを決めれば優勝と思ったら、3パットしてしまって。まだまだですね。本当悔しいです」
------欧州ツアーはいい経験になりましたか?
「本当に楽しかったです。みんなフレンドリーで、選手として一人前に見てくれて。いいプレーをすると、『ビューティフル!』とか言ってとことん誉めてくれる。英語で言ってくれるので、全部はわからないのですが、一生懸命励ましてくれるんです。こちらもなんとか気持ちを伝えようと、片言の英語で話しかけたりしていたら楽しくて。全く知らない世界に行って、新しい経験をすることって、こんなに楽しいんだな、と思いました。優勝を逃したのは悔しいですが、気持ち的にも技術的にも、いい経験になって成長した感じです。日本ツアーはもちろんですが、世界にも行きたい。まずは英語を勉強します」
何事にも物怖じせずに、新しい世界への不安を、楽しい経験に転化してしまう恐るべき18歳がまた登場した。
昨年の「ニチレイカップ」で3位に入るなど、プロを圧倒する存在感をすでに醸し出す諸見里しのぶ。
今年の夏のプロテスト突破を目指しているが、宮里藍のようにプロテスト前までに参戦する国内ツアーで優勝、そしてプロ宣言を目標に掲げている彼女の目は、すでに国内に飽き足らず、世界のフィールドに向いているようだ。
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