先週、トーナメントのテレビ中継でマスコミを賑わせた話題がある。ひとつは、視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で同日夜のプロ野球・巨人戦を上回った国内女子ツアーのスタジオアリス女子オープン。もうひとつは、肝心なところで中継が中断されたマスターズだ。TV中継の裏で繰り広げられた悲喜こもごもを紹介しよう。
まずは、関東ではテレビ東京が中継した女子ツアーのスタジオアリス。最終日の10日は、平均で11.5パーセントという高視聴率を獲得した。同時間帯の番組占拠率では26.7パーセント、つまりテレビを見ている4人に1人がチャンネルを合わせたことになる。
主催のスタジオアリス(子供専門の写真スタジオチェーン)では、「期待した数字ではありますが、試合展開、天候……、あらゆることが上手く運んだ結果でしょう。定期的に行っている認知度調査の次の結果が楽しみですね」(大会実行委員長・川村廣明氏)と手ごたえ十分な様子。
また、テレビ東京はこの結果を受け、「当社の女子ツアー中継では過去最高の数字です。女子ツアーは魅力的なコンテンツととらえ、今後とも力を入れていきます」(広報・IR部)
実際、今大会、同局では金曜日の初日から中継(開幕戦のダイキンオーキッドもTBSが初日から中継)。また、今年の女子ツアー戦は系列局制作も合わせて昨年より2試合増の10試合中継することになっている。
一方、制作を担当したテレビ大阪の岩谷哲幸プロデューサーは、「子供さんが大勢来場してくださり、宮里、横峯両選手を熱心に応援する姿が印象的でした。二人はメディアへの露出が増え、子供たちの間にも人気が浸透したからでしょう。今回は両選手が優勝争いに加わる理想的な展開でしたが、たとえ下位でも、二人のプレーを見たがる子供は多いんじゃないでしょうか」として、最近の女子ツアー人気は、一部に子供たちに支えられていると見る。
それにしても今季は開幕戦のダイキンオーキッド(最終日10.0パーセント)に続く、2試合連続での最終日2ケタ乗せである。当然、テレビ関係者の意気は軒昂のようだ。
「数字(視聴率)だけのことでなく、現場会場の賑わい、各マスコミの取り上げられ方、もちろん選手の頑張りなど、全体のムードが高まっているので、相乗効果で番組作りの方も張り切りますよ。今は、各局とも女子ツアーに注目しています」と某テレビ局の関係者は語る。
ところで、先の11パーセント強の視聴率だが、これは同日夜のプロ野球・巨人×中日戦の10.9パーセントを上回るもので、翌日のスポーツ紙には「藍&さくら 巨人戦に勝った!」という見出しも躍った。ところが、地元(会場は兵庫県)関西では5.0パーセントだった。
「残念ながら、裏に阪神戦という強敵がおりまして、しかも9回裏、逆転サヨナラゲームでしたから……」とテレビ大阪の某社員。
いくら好調な女子ツアーでも、関西では好調タイガースの敵ではなかったようだ。
タイガーつながり、というのは偶然だが、先週もうひとつ話題になったのが、タイガー・ウッズがプレーオフを制したマスターズのテレビ中継だ。
詳細は省くが、勝負が決まったプレーオフ1ホール目、これからが手に汗握る、最大の見どころというところでCM。CMが明け、後続の番組内で中継が再開されたときには、最後の最後、ウッズがバーディパットをねじ込む場面だった。
「苦情のお電話は10数件いただいたと聞いております」(TB広報部)ということだが、ファンの間で不満が爆発したことは確かだ。
同局関係者によれば、「番組と番組の間の、まったく想定外の時間帯での展開でした」として、当然、今後はこうした事態に備えた番組編成を検討するという。
ちなみにマスターズ中継の視聴率は関東地区で、3日目(10日)5.4パーセント、最終日(11日)4.3パーセント。最終日は、ファンには朝から大興奮の内容だったが、月曜早朝の中継を考えれば、こんなものか。
もっとも10パーセントもの視聴率があったら、苦情の電話で同局の回線はパンクしたかも。
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