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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/3
2005/4/27更新
個人情報保護法にゴルフ場が戸惑い
クレームに対する過剰反応と自己規制
 今月1日から全面施行され、産業界で話題になっている個人情報保護法。顧客データを保持する事業者にとっては細かな対応が必要な法律だが、一般の日常生活においては基本的に無縁なものだろう。しかし、ゴルファーにとってはゴルフ場で、今後は否応なく耳目に触れることになりそうだ。

 ここ数年、大量の個人情報を扱う事業者から個人情報が漏洩し、セールスあるいは悪徳商法にも利用され、社会問題化している。

 そうした状況を正すべく、個人情報のデータベース(紙による台帳も含む)を保有し、 事業に用いる個人情報取扱業者を監視・監督するための基本となるのが、この個人情報保護法だ。つまり、同法は事業者規制法であり、個人の情報を直接的に保護する法律ではない。

 しかし、ゴルフ場はこの法律の対象となる個人情報取扱業者であり、今、多くのゴルフ場が対応に追われている。

「県のゴルフ場協議会の講習会で、初めて対応策をとらなければならないことがたくさんあることを知り、驚きました。しかも、その講習会というのが、3月末だったので、法律施行まで時間がなくて……。まだ面倒な変更点がたくさんあって、じつは大変なんです」と、ため息まじりに語るのは栃木県の某ゴルフ場支配人。

 なかでも、この支配人を慌てさせたのが、来場者に受付で行ってもらう記帳の用紙だった。栃木県ゴルフ場協議会では、一枚の用紙に複数の氏名、住所、連絡先等を連記する形式――先に記入した人の個人情報が閲覧できる――は廃棄し、ホテルのチェックインに見られる単票形式に替えるように指導したからだ。

「うちもそうですが、これまでの在庫が何百枚、何千枚単位で残ってますからね。急に切り替えろと言われても……」と困惑気味だ。

 じつは、この法律には「必要かつ適切な措置を講じなければならない」といった文面で、事業者がなすべき具体的な行動内容や注意義務の内容は書かれていない。

 代わって関係各省庁から同法遵守のためのガイドラインが発表されているが、これにも細かな具体的内容は示されていない。そのため、都道府県ごと、あるいはゴルフ場ごとで執られる対応が異なっている。

「現在は周辺各県の対応を調べている段階です」というのは東京都ゴルフ場連盟相談役の森川孝志氏(GMG八王子G総支配人)。

 森川氏によれば、都のゴルフ場では他県を参考に、今後、統一した措置を講じるか、ガイドラインを提示するにとどめるかを決めたいと語る。

 それでも、間違いなく講じられることがある。それはどんな形であれ、個人情報である名前が使われる際には、必ず前もって承諾の確認がとられることだ

 関西のあるゴルフ場では全会員に対し、「ハウス内の会員名掲示に今後も掲示してよろしいですか?」と確認をとっているという。

 もちろん、クラブ競技の結果を会報等で発表する際にも、その承諾が確認されることになるケースも考えられる。「そんなことを、いちいち聞いてくるな」と言ってもダメである。とりあえず法律なのだから……。

 さらにゴルファー側に面倒を強いることがありそうだ。

「多くのゴルフ場で、互いの会員名簿を交換しています。入会希望者の在籍クラブを調べるのに、いちいち在籍証明書を発行してもらわずに、名簿にするからです。その方が、手間が省けますからね。でも、これからは名簿交換は出来ないかもしれません」(関東の某ゴルフ場支配人)

 そうなれば、今後、入会希望者は必ず在籍証明書を発行してもらわければならないだろう。

 個人情報の保護はありがたいが、その分、いろいろ面倒な手続きが増えそうだ。

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