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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/10-17
2005/4/27更新
「エンターテイメント」よりも「実力主義」!?
カート禁止を打ち出した米シニアツアーの思惑
 米PGAツアーは、いま本気でシニアのチャンピオンズ・ツアーを立て直そうとしているようだ。ここ最近のTV視聴率の低迷から、見ていて面白い、見ごたえのある試合を増やそうと努力しているが、そうした中で、チャンピオンズツアーから、静かに姿を消そうとしているものが「二つ」あるのをご存知だろうか。


もうこんなシーンは見られない

 その「二つ」というのは、ゴルフカートとチチ・ロドリゲスだ。名プレーヤーのロドリゲスをモノ扱いするつもりは毛頭ないが、現在すでに69歳。本来なら、生涯獲得賞金額で上位にいるために、試合の出場権は問題ないのだが、じつはチャンピオンズツアーには、ほとんど一般に知られていない「パフォーマンス規定」というものがある。

 これは、試合の出場プレーヤー全員の平均ストロークより、5打以上多くてはならない、というもの。チチが昨年出場した試合数は7試合で、平均ストローク数は79.0だが、この数字はプレーヤー全員の平均ストローク数より7.67打も上回っていたため、チチは今年のシードを失ってしまった(レギュラーツアーにはこの規定がなく、D・デュバルなどは、5年シードをフルに活用している)。

 もっとも、スポンサー招待で試合に参加し、上位の成績を収めればシードが復活するというのだが、チチはこのまま引退するのではないか、とも噂されている。

「私たちは、彼のようなエンターテイナーが必要なんだ」とゲーリー・プレーヤーはチチの出場を後押ししているが、ツアー関係者にすれば、エンターテイメントでギャラリーやプロアマ参加者を喜ばせるよりも、実力主義でテレビの視聴率を上げる方が重要だと判断しているようだ。

 今年は50歳になったG・ノーマンもシニア入りしているが、ビッグネームたちはシニアツアーの場合、メジャー級の試合にしか参戦しない。そのためにお遊び的なエンターテイメントの要素をなくして、ビッグネームたちにも、通常の試合に参戦してもらおう、という狙いが読み取れる。

 ゴルフカートの問題も同様だ。「私たちはファンにとって良かれと思い、規則を作った。(カートがない方が)テレビでの見栄えがいい」と語っていたのは、チャンピオンズツアーのリック・ジョージ会長で、今年から試合中のプレーヤーのゴルフカート使用を禁止している。

 もともと、このカート問題は結構根が深く、かつてタイガー・ウッズの大学時代のチームメイトだったケーシー・マーチンが、PGAツアーを相手にカートの使用を認めるように訴えたとき、その論拠の一つとなったのが、シニアツアーだった。

「シニアツアーではカートを認めていて、なぜレギュラーツアーではいけないのか?」「カートを使用したプレーが、競技ゴルフとして認められないというのなら、シニアツアーは競技ゴルフではないのか?」という訳だ。

 そのために、PGAツアーのティム・フィンチャム・コミッショナーは、以前からシニアでもカートを禁止する規則を作りたがっていたと噂されていた。

 もちろん、反対するプレーヤーは少なからずいる。トム・パーツァーに言わせると「シニアツアーでは、もう25年もカートを使用しているのに、なんでいま急にそれが問題になるんだ?」ということになるし、エド・フィオリによれば「ツアーは、年老いた人間を追い出そうとしている」となる。

 そうした声もあって、実際にカート禁止の規則を作ったのが一昨年の秋で、1年以上の猶予期間を置いた上で、今年からその規則を施行した。しかし一応はカートの使用を禁止したものの、アップダウンの激しいコースで開催する2試合(アリアンツ選手権、グレーター・ヒッコリー・クラッシック)だけはカートの使用を例外的に認める、としている。

 要は「我々シニアもアスリートであることを忘れるべきじゃない」(G・プレーヤー)という言葉に相乗りした形で、慎重にコトを運びつつ、「いつの間にかカートがなくなってしまった」という印象に落ち着かせる、筋書きどおりの展開になった。

 賛否両論の中で行ったさまざまな改革のあとで、思惑通りにTV視聴率が上がらなければ、誰が責任をとる?

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