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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/10-17
2005/4/27更新
アマチュアに絶大人気の2ボールパター
米PGAツアーで影が薄いのは、なぜ?
  日曜日の昼下がり、宮里藍らの活躍する女子トーナメントにチャンネルを合わせる機会が増えたという知人が多く、最終ホールのパットの場面で、画面に大きく映し出されるのは、たいていが2ボールパターと言われた。それもそのはず、日本ツアーにおけるオデッセイの使用率は男女とも50パーセントを超え、そのうち約8割が2ボールなのだから。


ディマルコもピンパター

 しかし、先日行われたマスターズのゴルフ中継を見たゴルファーたちから、こんな疑問を投げかけられた。マスターズに出ていた選手は、ほとんどがピンタイプを使っている。2ボールの人気も終わりかと。

 確かに米男子ツアーの上位選手が使うパターは、タイガー・ウッズのスコッティ・キャメロンをはじめ、ビジェイ・シン、アーニー・エルスなどほとんどがピンタイプといっていい。

 今年、キャロウェイと契約したフィル・ミケルソンですら2ボールもホワイトホットも使わずオデッセイのL字型プロトタイプを使っている。

 確かに重心震度の深いネオマレットパターは、真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出すには申し分ないが、微妙なタッチが分かりづらいという指摘もある。

 その理由を、クラブデザイナーで米国ツアーのクラブ事情にも詳しい松尾好員氏に聞いてみると、すぐに明快な答えが返ってきた。

「ティアップマネーの存在が大きいでしょう」

 耳慣れない言葉だが、これは試験で特定の会社のクラブを使うたびに支払われるインセンティブボーナスのこと。

 複数のツアープレーヤーやPGA関係者から聞いた話をまとめると、たとえば、PGAツアーのプレーヤーは、スコッティ・キャメロンのパターを使うと、タイトリストから1試合につき数千ドルものボーナスが支払われるという。

 いくら賞金を稼いでいる選手にとっても、魅力のある金額だ。まして、キャメロンの主力は、ほとんどの選手が一度は経験してきたアンサータイプだけに違和感はない。

 こうしたティアップマネーの習慣は、米国では10年以上前からあり、とくにパターで行われることが多いという。パター契約までしている選手が少ないことも理由の一つ。その標的となっているのが2ボールというわけだ。

 昨年も、オデッセイパターは、米シニア、米女子、欧州男子、日本男女など世界の主要ツアーで使用率ナンバーワンとなった。しかし、米男子ツアーとその下部大会であるバイコムツアーだけはタイトリストにその地位を譲っている。

 2ボールが米男子ツアーで女子ツアーほどの占有率に達しない原因はもう一つある。

「女子選手はショットの練習に多くの時間を割いているので、パットの技術が未熟。そこで2ボールのようにストロークできるパターに頼ることになる。逆に男子選手は一日グリーンの上で過ごす選手もいるほど研修熱心。インサイドインで打つ選手には操作性の鈍い2ボールは不向き」(米ツアー関係者)

 そもそも2ボールはパットが苦手で真っ直ぐ構えられない女性ゴルファーのために作られたお助けパターだ。直線でなく2枚のアライメントディスクで構えるのも余計なプレッシャーを少なくするため。このパターを手にすること自体、パッティングに自信がないことを意味しているのだ。

「マスターズに出場する世界ランクトップ50の選手ならパッティングに自分のスタイルを確立しているので2ボールを使う必要はない。ただ、米男子選手の中にはパットが不調の間2ボールを使い、調子が回復すると元に戻す選手もいる」(キャロウェイゴルフPRマネージャー/松尾俊介氏)

 プロでさえそうなのだから、われわれが2ボールの世話にならざるを得ないのも納得できる。

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