プロのお気に入りのトーナメントはどれ? 年間28試合(国内男子=今季)のうち、試合会場に足を運んだり、テレビでトーナメント観戦しているファンなら、一度はそう考えたことがあるだろう。
|
一度はプレーしたいフェニックスCC
|
ジャパンゴルフツアー選手会(JGTPC)が、トーナメントの質向上を目指して、毎年行っているトーナメントに関するアンケート結果(2004年分)が、このほど発表された。
ツアープレーヤーたちが10項目の設問を10点満点で採点し、その平均値を出して順位をつけているのだが、これを見ると、選手たちのトーナメントに対する考え方が見えてきて興味深い。
設問は(1)コースセッティング(2)フェアウェイのライン取り(3)コースコンディション(4)ラフの深さ(5)グリーンコンディション(6)練習場環境(7)クラブハウスレストラン内容と料金(8)選手へのホスピタリティ(9)セキュリティ(防犯、警備、安全等)(10)トーナメントの総体的印象となっている。
総合1位はダンロップフェニックス。タイガー・ウッズ参戦で盛り上がったのは記憶に新しいが、総額2億円、優勝4000万円という国内最高の賞金額を誇るビッグトーナメントだ。
<
項目別では、(1)(2)(4)(9)(10)の5部門で1位になっている。
ダンロップフェニックスが高い評価を受けたことに対しては「選手が何を重点において評価するかによりますが、やはり賞金額というのは大きな要因のひとつでしょう」と、山中博史JGTOディレクター。
これについては他の関係者も同様の分析だ。賞金額という設問はないのだが、(10)の部分にはこれが大きく作用したのではなかろうか。
ダンロップフェニックスは、以前から選手に人気のトーナメントだったが、ここ3年で決定的に変わったことがある。練習場環境だ。
以前は、27ホールあるコースのうち、使用していないホールで芝から球を打ったり、アプローチをしたりしていたのだが、経営が替わると同時に、デビッド・デュバル・ゴルフ・アカデミーを設立。その施設である練習場は打席数、広さともに申し分なく、バンカー、アプローチ、パッティングなどが存分にできる申し分のないものだ。
しかしクラブハウスから遠く、シャトルを使って行くという制約があるため(6)練習場環境では1位のアコムインターナショナル(石岡GC)に次ぐ2位だった。
「もし、歩いて行ける場所にあったら1位だったでしょう」(運営関係者)と言う声が多かった。
昨年の場合、大会初日に雨が降ったが、クォリティの高いコース環境を見事に生かし、ナイスショットは生きて、ミスショットにはペナルティを払わせるフェアなセッティングが評価されて(1)(2)(4)で1位となったのは間違いない。
タイガーの8打差圧勝という結果も「実力者が力を発揮する、というフェアさを証明したのでは」という声もある。
一方(5)グリーンコンディションで1位となったツアー選手権(宍戸ヒルズCC)は、03年からツアーの看板であるこの大会の開催地となっている。スポンサーの関係で開催がなかなか決まらず、大会の半年前にようやくコースが決定した1年目に比べると、時間をかけてじっくりメンテナンスした昨年はこの努力が実った。
「スティンプメーターで14フィート近い速さのオーガスタ級のグリーンに仕上がった。ラフからでは止まらず、フェアウェイからなら止まるフェアなグリーンです」(山中氏)。難しくても公式戦らしいセッティングが、正当に評価されているようだ。
ただし、いいトーナメントセッティングを行うにはコースは常にリスクを抱えていることも覚えておいて欲しい。「(コースが耐えうる)ギリギリのセッティングをしているので、その後はコースが傷んでしまうこともあります。昨年の宍戸ヒルズがそうでした」(山中氏)という例もある。試合を見てすぐプレーしようとしても、いい状態であるとは限らない。
ちなみに、それ以外の設問では、(3)はサン・クロレラ・クラシック、(7)は三井住友VISA太平洋マスターズ(8)はツアー選手権が1位という結果になった。
|