昨年末、日本ゴルフ協会が2008年から実施予定の高反発ドライバーの規制を公式16競技に限り前倒しで2006年から適用するとした発表を受けて、にわかに熱を帯びたSLEルール問題。以来、半年を経て、この問題に対するゴルファーとゴルフ用品業界の意識はどう変わったのだろうか。
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ドライバー選びが難しくなった
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「いま使っている高反発ドライバーが合っているのでなかなか替えられません。来年の競技のことを考えると夏頃までにはルール適合のドライバーに替えておかないと間に合わないのですが」
とカリスマスーツマンとしてたびたび本誌に登場している和田貴之さんは曇った表情を見せる。競技ゴルファー向けのドライバーには高反発モデルと低反発モデルの両方を用意しているメーカーも多いが、そんなに単純な問題ではなさそうだ。
「同じモデルでも高反発モデルと低反発モデルではまったく違うクラブと考えた方がいい」
その理由は、フェースの重量の違いにあると考えられる。最近のドライバーはヘッドの大型化にともない、フェースの面積も大きくなっている。ルールに適合させるためにフェースを厚くすると、フェース単体での重量は7~8グラムも増えるといわれている。これがヘッド全体の重量バランスに大きく影響するのだ。
1グラムの鉛を貼るだけで球筋が変わることを考えれば分かりやすいだろう。ヘッド重量を同じにしてもその分だけ重心深度が浅くなる。
一方、一般のゴルファーにもSLEルール自体は徐々に浸透しているようだ。
「一部のコースでは月例競技にもSLEルールを適用しようとする動きがあり、そういったコースのメンバーの方を中心にルール適合ドライバーへの問い合わせが増えています。また、店頭でフェースに貼られたルール適合表示のシールを見て、説明を求められる方も多い」(三越日本橋本店ゴルフ売り場/安藤真一さん)
ただし、SLEルールに適合しているというだけで購入に踏み切るところまではいかないようだ。
「自分はルールには関係なく飛んだ方がいいといわれる方がほとんどです。当店ではルール適合のサイバースターナノブイが店頭に並べると同時に3本、その後もコンスタントに売れていますが、ルール適合だからというよりは、他の高反発ドライバーと打ち比べて実際に飛距離が出ているところが決め手となっています」(前出/安藤さん)
ゴルフショップの対応にも大きな差が見られる。
「お客様から聞かれない限り、あえてルールのことには触れたくない」と本音を漏らすショップもあれば、
「ドライバーを毎年替えられるようなお客様には高反発ドライバーをおすすめしますが、同じものを長く使い続けるお客様にはルール適合モデルをおすすめするようにしています」(ことぶきゴルフ北口店/稲垣憲店長)と柔軟に対応しているショップもある。
やはり、いくらルールとはいえ、ユーザー心理として飛ばないドライバーをわざわざ買う気にはならない。一部でユーザーに買い控えムードが広まっているとも伝えられる中、各メーカーからルール適合の飛ぶドライバーが発売されるのを心待ちにしているのはユーザーもショップも同じだ。
かといって、これまで高反発オンリーで開発を進めてきて、急に低反発を作ることは難しい。早ければ今秋にも各メーカーのルール適合ドライバーが出揃うという噂もあるが、今のところ各メーカーは具体的な話には口をつぐんだままだ。
そんな中で注目されているのが、プロギアのデュオ2シリーズ購入者を対象にした有償ヘッド交換サービスだ。
これは、高反発ヘッドをルール適合ヘッドに交換する際に、正規料金5万4600円のところ半額の2万7300円で行ってくれるというもので、高反発かルール適合かという二者択一ではなく、より柔軟な選択肢として評価される。
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