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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/24
2005/5/18更新
ツアー用の「飛ばないボール」を開発中!?
飛距離に頭悩ますUSGAの「怪メール」

 プロゴルフツアー専用のゴルフボールが出来る? USGA(全米ゴルフ協会)が、世界のゴルフボールメーカーに送ったEメールが、ゴルフ界に衝撃を与えている。

 そのEメールの内容というのは、ルール上のボールの最大飛距離より15ヤードと25ヤード分、飛ばないボールを開発してUSGAに送って欲しい、というもの。正確には、ゴルフボールの飛距離の上限は、平均的な男子プロのスウィングスピードで317ヤードだから、302ヤードまでと、292ヤードまでしか飛ばないボールを開発して欲しい、というものだ。

 このEメールは、リサーチ、研究が目的で、直接ルールの改定と結びつくものではない、としており、メールの発信者もUSGAのテクニカルディレクターのD・ラギー氏となっている。

 しかし、その一方で「ゴルフボールメーカーに、私たちの研究プロジェクトに関わる機会を与え、それによって将来必要となった時に、ルール改定のプロセスにも関わることが出来るようにするのが、適当と考えた」と説明しており、飛びすぎるゴルフボールの飛距離を、ルールを改定してでも押さえたいという意図が、見え隠れしている。

 加えて、タイミングの問題もある。このメールが発信された日付けは4月11日で、ちょうどマスターズが終わった翌日。マスターズは、他のメジャーとは異なり、プライベートクラブが主催する試合なだけに、独自の統一ボールをプレーヤーたちに使用させることも可能な大会だ。

 以前から、飛びすぎるボールの問題が取り沙汰されていたが、今年の大会直前にそうしたボールの試作品が出来ているのか、と記者に聞かれ、

「まだ、どこまで飛んだら踏みきるのか決めていない。だから試作品も出来ていない。今は、USGAやR&A、PGAツアーに働きかけて、この問題が解決されるのを望んでいる」とオーガスタ・ナショナルのフーティ・ジョンソン会長が語っていた。

 つまり裏を返せば、USGAやR&Aが腰を上げないのならば、マスターズで飛ばないボールを使用させることもあり得る、と言っているわけで、USGAに対してかなりのプレッシャーをかけた模様だ。

 USGAにすれば、昨年シネコックヒルズの全米オープンでコースセッティングに失敗し、「最終日の日曜日には、USGAの誰もが失望した。しかし、全米オープンをタフなセッティングにすることは、今後も変わらない」とD・フェイ専務理事が語っている。

 つまり、今後プロたちの予想以上の飛距離にどう対処してゆくか、内部で大きな問題になっており、マスターズがローカルルールで、プレーヤー全員に同じボールを使わせるようなことになると、面目丸つぶれになってしまう恐れがあるのだ。

 そのために、USGAが指導する形で、飛ばないボールをメーカーに作らせて、将来ハイレベルな(プロとトップアマの)試合で使用させるようにするのではないか、という憶測が飛びかうのも無理はない。しかも、USGAでは、すでに独自で飛ばないボールの試作品を作っていた、という噂まである。

 今回、メーカー各社にそれを作らせることによって、ルール改定時にUSGAがメーカーから裁判で訴えられないように御膳立てをしているようにも受け取れる。

 ここまで疑われるのは、高反発係数のドライバー問題が尾を引いているからだ。アマチュアが、普段のゴルフで使用する際には何も問題ない、とされながらも、結局、メーカーのほとんどが高反発クラブ生産中止の方向に向かっている。

こうした前例を見ると、あるいは段階的にルールを改定して、将来はプロだけでなく、一般ゴルファーも購入できるのは、飛ばないボールだけ、という状況になることも予想できる。

 それだけにこの問題、今後の推移から目が離せないのと同時に、さらに大きな論議を呼んでゆくことになりそうだ。

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