男子ツアーがタイガー(虎)なら、女子ツアーはパンサー(豹)? 米女子ツアーのサイベース・クラシックに優勝したピンクパンサーこと、ポーラ・クリーマーが、米ゴルフ界の話題の人となっている。
日本では、宮里藍や横峯さくらなど、若手プレーヤーが人気を集めているが、クリーマーもまだ18歳。正確に言えば、ワイカギルCCで優勝した時点では18歳9カ月と17日。「すごい卒業祝いをもらったわ」と本人が語るように、高校の卒業式を4日後に控えた現役の女子高生だったのだ。
この18歳9カ月という記録は、米LPGAの過去53年で、もっとも若い優勝者ということになる。
正確には、LPGA史上2番目に若い優勝者ということになるのだが、1952年、マレーネ・へジーが18歳と14日という記録を作ったサラソタ・オープンと2カ月後のベーカーズフィールド・オープンは、ともに1日だけ、18ホールのイベントだった。オフィシャルには数えられているものの、実質的には、今回のクリーマーが最も若い優勝者と言えるだろう。
ちなみに、2日間以上の試合でこれまで記録を持っていたのは、19歳と1日というエミー・オルコット。次が19歳と6日というサンドラ・ヘイニーだが、ともにゴルフ世界殿堂入りを果たしているプレーヤーだけに、一層クリーマーにも期待がかかるというわけだ。
確かにこの試合には、絶好調のA・ソレンスタムこそ出場していなかったが、最終ホールで約5メートルのバーディパットを沈め、グロリア・パークとジェーオング・ジャンの韓国勢を1打差で押さえての堂々たる優勝。
外国勢ばかりが活躍する米女子ツアーの中で、待望のアメリカ人プレーヤーの誕生ということで、アメリカのゴルフ界全体が、彼女に熱い視線を送っている。
「次世代の偉大なアメリカ人プレーヤーは誰か、という問いはずいぶん私にはプレッシャーになっていました。でも、そのプレッシャーが逆に、私にもっと熱心に練習をさせることで、なんとか跳ね除けることが出来た」という。
そのクリーマーが、暗にライバル意識を燃やしているのが、15歳のミッシェル・ウィ。クリーマー自身は、ウィより早くLPGAで勝つことには、特にこだわっていなかった、としているが、その一方で「多くの人が、私のプロ入りはまだ早い、と言っていたけれど、自分ではすでに優勝する準備が出来ていたわ」と自信の程ものぞかせている。
これまでは、プロ入りしたとはいえ、高校の授業と掛け持ちで試合に出場していたが、これからは、学校の心配をせずにレギュラーペースで、ソレンスタムやウィらと対戦することなる。
クリーマーはもともと、一昨年にジュニア部門の「プレーヤー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、昨年は米ゴルフダイジェスト誌などでアマチュア部門の「プレーヤー・オブ・ザ・イヤー」を獲得している大物新人。
昨秋のLPGAのプロテストでは、アマチュアとして出場し、史上最年少で、しかもアマとして初めて優勝した実績を持っている。03~04年にかけては10試合のLPGAの試合に出場し、昨年のショップライトでの2位を含めて、5試合でトップ20に入る健闘ぶり。
ある意味では、初優勝するのも時間の問題と思われていたが、高校卒業後というのが大方の予想で、これほど早い時期の優勝を予想する人は少なかった。
彼女がピンクパンサーと呼ばれる由縁は、普段どこかにピンク色の入ったウェアや帽子を身につけているからだ。優勝した試合でも、「最終日に最後の2組に入れたら、私もピンクの帽子を被る約束でした」(キャディのL・ベネット)という。
キャディまでお揃いのピンクが、言わば彼女のラッキーカラー。タイガーは最終日が赤なら、女性のクリーマーはピンク。何やらLPGAのタイガー・ウッズという感じもするが、日本の宮里藍や横峯さくらのライバルとなることは間違いない。
6月の全米女子オープンでは、「藍とピンク」の10代若手対決になるのを期待したい。
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