リシャフト市場では、タイガーが使うディアマナの人気が高く、店頭では品薄状態が続いている。また、藍ちゃん効果はシャフトにも及んでいる。グラファイトデザイン社のツアーADは以前から人気が高いシャフトだが、ここに来てまた一段と注目度が高まっている。
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シャフト交換は慎重に
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リシャフト市場で独り勝ちしているといっていいのがディアマナだ。
「今注文をいただいても納期は7月中旬」(発売元エストリックス/長崎氏)という大量のバックオーダーを抱え、アフターマーケット市場ではまれにみるヒット商品となっている。
昨年10月にハードヒッター向けの83Sと73Sの2タイプが発売されたばかりだが、タイガー・ウッズやビジェイ・シンなど世界ランキングの上位選手がこぞって使いはじめたことで火がついた。
さらに今春アベレージクラスでも使える軽量60グラム台の63Sが追加発売され、爆発的な人気となった。
ディアマナ人気を支える要因は、PGAのトップ選手に的を絞った同社の周到なプロモーションの成功もさることながら、シャフト自体にクセがないことも挙げられる。
「戻りが速すぎたり遅すぎたりしないので、違和感を覚える人が少ない。とくに63Sはアベレージゴルファーでも使えます」(ゴルフプーマ―/丸山良樹氏)
一方、宮里藍ら多くのプロが使うグラファイトデザイン社W-60は引き続き、中上級ゴルファーを中心に人気を集め、リピーター率も高くロングセラーとなっている。
さらにこの春、同社では同シリーズの地盤を固めるべく軽量タイプのW-50を投入したが、ショップ店頭での引き合いは相変わらず知名度(?)の高いW-60に集中しているようだ。
「多くのアベレージクラスの方にとっては、本当はこれくらいの重量のシャフトが必要だと思います」と人気優先のシャフト選びに苦言を呈するのは前出の丸山氏だ。
「来店される前に銘柄だけでなくスペックまで決めてしまっている方が多いです。しかし、お客様のご希望のシャフトで実際に計測してみると、重すぎたり硬すぎたりする方がほとんどです。計測までしなくても、振ってみるだけでも自分が振れるかどうか最低限のことはわかるはずなのですが」(丸山氏)
ただ、人気プロの活躍ぶりやアベレージクラス向けの軽量シャフトの充実で、これまでカスタマイズに縁のなかった層がリシャフトに興味を示し始めているのは事実。その背景には、高反発クラブの規制を目前に控え、飛距離を出す方策としてシャフト交換が見直されていることもあるようだ。
「確かにシャフト交換は初めてというお客様が増えています。とくに年配になるほど飛距離に対してどん欲な方が多いのですが、これまではクラブを頻繁に買い替えていたところをシャフトでどうにかしたいという方が増えました。ヘッドスピードはヘッドを換えても上げられませんが、シャフトを交換することで上げることができます。そういったシャフトの機能や重要性が、以前と比べてより多くの方に理解していただけるようになりました」(丸山氏)
ゴルフレンドの大野昭男氏は、リシャフト人口の増加を歓迎する一方で、カタログデータや過去の経験に頼った安易なシャフト選びは失敗の元と警鐘を鳴らす。
「ディアマナやランバックスはけっこうハードで、Rでも他のシャフトのS相当の硬さがあります。逆にS表示でも軟らかいものもあります。メーカーによって、またシャフトによってもフレックス表示の基準はまちまちなので、当店では振動数を計って合わせることをおすすめしています。ヘッドスピードひとつとっても室内で振ったときとコースで振ったときは違います。また、測定器によっては10パーセントくらい誤差が出ることもあるので良い数値が出たからといって鵜呑みにしないこと。シャフトの性能は値段では決まりません」(大野氏)
結局、見栄をはって失敗し、損をするのは自分。決して安い買い物ではないだけに、シャフト選びは沈着冷静に進めたいものだ。
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