国内ツアーの『女高男低』はある程度予想されていたが、全日程のほぼ3分の1を終えたところでのテレビ視聴率の結果には改めて驚かされる。つい2年前まで2桁など「夢の世界」だったのが、今や女子ツアーでは当たり前になった。この事態を当事者はどうとらえているのか。テレビ局関係者に話を聞いた。
まずは先々週、同時時間帯の男子の5倍強もの視聴率を獲得したリゾートトラストレディスの中継を担当した、静岡朝日テレビの石井徹哉プロデューサーは、「それまでの流れから2桁には届くと思っていましたが、13パーセント台というのは正直、予想以上でした」と語る。
石井氏が2桁を期待した裏には、その前週の廣済堂レディスの実績にあった。同大会は宮里藍が故障欠場、もう一人の人気者・横峯さくらも予選落ち。それゆえ最終日は人気者のの飛車角落ちで中継せざるを得なくなった今季初の大会だった。
そのため関係者の間からは、「今度の数字(視聴率)が女子ツアーの本当の実力」であり、それは「5パーセント前後なのでは?」といった予測がなされていた。
実は担当プロデューサーのテレビ東京・高橋修氏も「(視聴率は翌月曜日発表のため)実際は後日分かったことですが、横峯選手が映った土曜日が6.1パーセント。日曜日は土曜日より悪くても仕方がないと思っていましたから、5パーセントと予測されても当然でしょうね」と正直な胸のうちを語る。
ところが、出てきた数字は8パーセント台の高視聴率。この結果を受け高橋氏は、「今や8パーセント前後が基礎票」と分析する。
そして、「視聴者層の詳しいデータを見ると、50歳以上の男性が中心なんです。つまり、人気者2人の登場で新しい視聴者が増えたのではなく、従来のゴルフファンが帰って来たのか、習慣的にチャンネルを合わせているようです」と推測している。
視聴者の中心はゴルフを知っている人だから、今後、最終日の中継はいわゆる勝負中心の構成で十分見てもらえるとの感触を得たようだ。
しかし、この「8パーセントが基礎票」という見方に対し、かつてのテレビ朝日名アナウンサーで、プロデューサーも務めた三好康之氏(現テレテック専務)は、「まだ、そこまでは……」と疑問を呈する。
続けて、「たとえば、あの2人が揃って3~4週間もツアーに出なければ、もっと小さな数字になると思いますよ」と語る。
ツアーの現場を見ると、人気を支えているのは、ゲームの面白さではなく、まだまだ藍ちゃんを始めとする個人の人気であり、しかも藍ちゃんを見つめる子供たちの目はタレントを見る目と似ていると指摘する。
前出の石井氏も、ギャラリーで新しく増えた層は、子育てに関心を持つ世代の親と子供たちが多いと語る。それゆえ「今後は、そうした新しく見てくれた層を本当のファンに成熟させる努力、工夫が求められるのでしょう。もちろん、我々の側も……」として、これからの取り組みが大事と語る。
一方、低迷する男子ツアーの浮上策だが、三好氏は「残念ながら、一朝一夕に捻る策はありませんね。プレーやゲーム運びで、ファンをワクワクさせるとはどういうことなのか。各選手、関係者が根本から問い直さなければ、見つからないのでは」と語る。
どうやら、国内ツアーの女高男低は当分続きそうだ。
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