男子の全米オープンが終わったと思ったら、早くも今週は全米女子オープンが開催される。男女続けての2週にわたるメジャー大会という以外にも、今年の全米女子オープンはいつになく注目を集め、前評判が高い。
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今週の全米女子オープンでも優勝候補の一人
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というのもこの試合、女子ゴルフ界では最高峰のメジャー大会であることはもちろんだが、「私の一番の目標は、年間グランドスラムを達成すること」と豪語するA・ソレンスタムが、今季メジャー3勝目を狙っているからだ。
それに加えて、先の全米女子プロで2位に入った天才少女、ミッシェル・ウィの存在がある。
「今年はあと2試合しかメジャー大会がないから、確かに彼女(ソレンスタム)が年間グランドスラムを達成する可能性は非常に高いと思うわ。でも私を含めて他のプレーヤーたちは、それを阻止しようと一生懸命練習しているのよ。とにかく私は、今年のメジャーの1つはモノにしたいと思っているの。残りの3つは彼女(ソレンスタム)にいくことになるかもね」と、15歳のアマチュアの口から飛び出すのは、堂々たるメジャー勝利宣言だ。
全米女子プロでは、ソレンスタムが最終日、前半のハーフを終えた時点で2位に8打差という大差をつけて、余裕の勝利を飾っている。しかもこの試合で3年連続優勝(1つのメジャーを3年連続優勝するのを含めて)というのは、LPGA史上初めての快挙だった。
そして4つのメジャーのうち、最初の2つのメジャーを制したのも、86年のP・ブラッドレー以来というから、すでに凄いことを成し遂げてはいる。しかし全米女子プロでは、2位となったウィに3打差にまで、追い上げられたのも事実だ。
ウィに言わせると「最後の数ホールになった段階で、引き離され過ぎてはいたけど、内心では勝つチャンスがあると思っていた」という。
結果的には勝てなかったが、全米女子プロ初参加のウィには、さまざまなマイナス要素もあった。
ひとつは「女子プロのナンバーワンを決める」試合に、初めてアマチュアが招待されたことに対する批判の声だった。ウィ自身は「いろんなことを言われるのには、もう慣れっこになってしまった」というが、余分なプレッシャーが加わっていたのも事実だろう。
それに加えて、万全な体調でプレーしたのは最終日だけで、最初の3日間は胃を悪くして、ショットに力が入らなかったという。
「原因は単なる食べ過ぎ。木曜日のお昼に、母が鮭と海老のご飯のお弁当を作ってくれたんだけれど、大好物なので食べ過ぎてしまったの。前にも一度、同じことをやっているだけに、本当に馬鹿なことをしてしまったわ」というあたりは15歳の少女らしいが、そんな体調にもかかわらず、ただ一人4日間アンダーパーでラウンドしたのは立派。
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、「ソレンスタムは地球上最強の女子ゴルファーで、ウィはその呼び名を将来モノにすることが予想される女の子」という表現になる。ソレンスタムの目標が年間グランドスラムなら、ウィの今年の目標は「招待された男子ツアーのジョンディア・クラシックで好成績(優勝)を収めて、全英オープンに出場すること」と公言する。
そればかりではない。全米女子プロのわずか2日後、ウィは全米アマチュア・パブリック・リンクス選手権の予選会に出場し、男85人を向こうにまわして、わずか2枠しかない本大会への出場権を首位タイの成績で獲得した。もし7月の本大会で優勝すれば、来年のマスターズの出場権が与えられる。
「テレビで見た初めての大会がマスターズ。ゴルフを始めてからずっと出場するのが夢だった」というから、夢の大きさではソレンスタムを上回っているかも。
そんな二人の対決が、全米女子プロからわずか2週間後の今週見られるのだから、アメリカでの前評判が高いのも当然のことだろう。
ソレンスタムの方は、先週からデンバー入りして、会場となるチェリーヒルズで練習ラウンドを重ねている。
一方、ウィも「もう少し飛距離をアップさせたいと思って練習している。それに女子オープンに向けて、もっとショートゲームも上手くならないとね」と、全米女子オープン史上最長のヤーデージ(6749ヤード)となるコースに合わせて、準備は万全のようだ。
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