65歳のジャック・二クラスが、先のメモリアルトーナメントでレギュラーツアーから、そしてベイヤーアドバンテージクラシックで米シニアツアーからの引退を表明したが、ツアー全体を見てみると、まだまだシニア層の活躍ぶりが目につく。
7月の全英オープンを最後に、競技ゴルフからの完全引退が囁かれている二クラスは「私は現役ゴルファーとして、終わりたい。かつての名声だけで、試合に出続けることはしなくないんだ」と語っている。しかし、この言葉を逆に取れば、65歳になるまで現役プレーヤーとしてやってこれた、という意味に受け取れる。
実際、二クラスがシニアでの引退を表明したベイヤークラシックでは、55歳のD・クイグリーが同じ58歳のG・モーガンと55歳のT・ワトソンをプレーオフで破り優勝しているのだ。
かつてシニアツアーでは、55歳くらいまでが華で、60歳ともなれば事実上引退、と言われていたが、チャンピオンズツアーの現在の賞金ランキングを見ると、クイグリーが125万ドルでトップを走り、2位には57歳のT・ジェンキンス、3位には、なんと60歳のH・アーウィンがいまだに頑張っている。
つまり、シニアの世界では60歳前後まで、現役バリバリのトッププレーヤーとして活躍できるということだ。
そういえば、このベイヤークラシックと同じ週に開催されたレギュラーツアーのブーズ・アレン・クラシックでは、3日目を終了した時点で、55歳のT・カイトが、この試合に優勝したS・ガルシアやA・スコットといった若手やエルス、シン、ラブIIIといった強豪を抑えて単独トップに立っていた。
「これがチャンピオンズツアーなら、楽に優勝しているところだった」とカイトは語っていたが、確かに3日間競技ならカイトのような50代半ばのプロにも、レギュラーツアーでの優勝のチャンスは充分にあるだろう。
事実、メジャー大会では初日、2日目あたりに経験豊富なシニアのベテラン勢がリーダーボードに顔を出すのは日常茶飯事。1~2日の試合なら、60歳前後になっても、30~40歳年下の若手プロたちと対等に戦えるという証拠だろう。
しかし、年を重ねると体力が衰える上に、集中力を持続させることが難しくなることから、通常のシニアの試合では3日間競技ということになっているのも頷ける。
シニアだけに限らず、レギュラーツアーでも40代世代が活躍している。42歳のV・シンはいうまでもなく、44歳のK・ペリーや49歳のF・ファンクなども今季優勝を果たしているし、41歳のD・ラブIIIも復調しつつある、といった状況だ。
そうした意味で、トッププロとしてやってゆける年齢が、かつてより5歳から10歳は上がっている、ということが言えるだろう。
58歳でシニアの賞金ランキングのトップを走るクイグリーは、「こんなに調子が良く、波に乗っているのは、かつてなかったこと」と語っているが、40代、50代のアマチュアゴルファーにとっても、まだまだシングルプレーヤーは夢ではないのかもしれない。
話は変わるが、米国のアマチュア界のホープで、昨年の全米アマ、全米学生選手権の覇者のライアン・ムアーが、全米オープンを最後にプロ入りを表明し、バークレイズ・クラッシックでプロデビューすることになった。ベテラン勢がなかなか後進に席を譲らない中、米ツアーの層はますます厚くなりそうだ。
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