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週刊ゴルフダイジェスト 7/19号
2005/7/14更新
108年ぶりにゴルフがオリンピック再登場?
12年大会を巡るIOC総会の行方に注目

 国際オリンピック委員会(IOC)総会が5日からシンガポールで始まる。最大の注目はパリ、ニューヨークなどが立候補している2012年夏季大会の開催地決定だが、ゴルフ関係者は8日投票の実施競技見直しの結果に、より注目している。

 今回のIOC総会では、6日に注目の2012年大会の開催都市が決定される。候補はロンドン、パリ、ニューヨーク、モスクワ、マドリードの5都市。いずれも欧米を代表する『都』だけに、華々しい誘致合戦が展開され、投票の行方には世界中が関心を寄せている。

 その2日後の8日、今度はゴルフ関係者が大いに期待を寄せる投票が行われる。同じく2012年大会に実施される競技の見直しで、結果次第ではゴルフが108年ぶりにオリンピックの舞台に再登場するからだ。

 総会では、まず現在実施されている28競技すべてについて存続可否の投票が行われる。協議ごとに110名余のIOC委員会が票を投じ、過半数を獲得できなければ除外されることになる。

 そして、除外競技が出た場合、ゴルフ、ラグビー、空手、スカッシュ、ローラースケートの中から理事会が推薦する競技に対する投票が行われ、同じく3分の2以上賛成票を得れば、新たな実施競技となるのだ。

 IOCは3年前、五輪の肥大化抑制策として野球、ソフトボール、近代5種の削除を提案したことがある。このときは手続きが拙速として、結局、議題に挙げられなかった。

 今回は全競技が見直されるのだが、それだけに各競技の関係者は熱心なロビー活動を展開。その結果、一時は危ないとみられていた野球、ソフトボールも明るい見通しが伝えられている。

 両競技は日本の得意種目だけに存続は嬉しいが、反面、ゴルフが採用される可能性が減るわけで、複雑なところだ。

 そのゴルフ採用の可能性だが、某事情通は、「国際ゴルフ連盟(IGF、旧世界アマチュアゴルフカウンシル)のロビー活動の結果、IOCは好意的なようです。除外競技が出た場合は、可能性はあると思います」と証言する。

 実は1996年のアトランタ大会の際には、実施が決まる直前まで進んだことがあり、IOCにとってもゴルフは馴染みのない競技ではない。

「そのときは、正式決定前に競技会場にオーガスタ・ナショナルが予定されていることがわかると、当時のサマランチ会長の片腕だった米国人女性のアニタ・デフランツ副会長がオーガスタの保守的、排他的な運営に猛反発。結果、実現しなかった経緯がありました」

 その頃とはIOCの体制も変わり、IGFからの熱心な働きかけもある。だが、競技採用には大きな懸念材料がある。米PGAツアーの協力だ。

 同ツアーの協力、支援がなければ、タイガー・ウッズをはじめとする人気プレーヤーの出場はかなわない。しかし、それには難しい事情がある。

「マスコミは、PGAツアーが協力しないのはドーピング検査があるからだと報道していますが、それはほんの一部」(前出・事情通)

 PGAツアーは配下選手からドーピング(主に筋肉増強剤の使用)の陽性反応が出るのを恐れて、参加に消極的だと伝えられるが、実はそれよりもトーナメントスポンサーとの調整、出場選手に対するギャランティの問題。

 また、予定では出場選手は各国上位2人ずつ。それでは「ゴルフ世界一」を決める大会にならないことなど、PGAツアーが難色を示す問題は大きい。

 つまり、「PGAツアーが全面協力すればIOCは大きな恩恵が得られるが、反対にPGAツアーが得られるメリットは?」ということであり、最終的に、今やトッププレーヤーがほとんど出ないテニス競技のようになるのを恐れているのだ。

 さて、PGAツアーが示す難色を、各IOC委員はどう評価し、投票するのだろうか。

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