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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 7/26号
2005/7/21更新
ゴルフ先進国のプロたちを打ち負かす
「第三世界」プレーヤーたちの活躍ぶり

 全米オープンでニュージーランド出身のマイケル・キャンベルが勝ったと思ったら、女子オープンでは、韓国出身のバーディ・キムが栄冠を手に。そしてその翌週には、世界女子マッチプレーでコロンビア出身のマリサ・バエナが、準決勝で台湾出身のキャンディ・カンを破り、決勝でも韓国出身のミーナ・リーに勝って50万ドルの優勝賞金をものにしている。

 3人が3人ともダークホースであったことは間違いない。しかし、ある意味ではメジャーやそれに匹敵する大きな試合となるとアメリカ人か、イギリス、スコットランドを中心としたヨーロッパのゴルファーたちがいつも優勝候補に挙げられ、アジアや南米のプレーヤーは下馬表にも上らないために「ダークホース扱い」されているだけかもしれない。

 それにしてもここ最近、ゴルフ先進国の欧米以外から、強い選手が続々登場するのは、なぜだろう。

「コロンビアでは、今回の優勝は特別な意味があるの。私たちの国は多くの問題をかかえ、暴力が絶えない。そうしたこともあって、常に誰か模範となるような人間を探しているんです」と語るのは、マッチプレーの前週にフューチャーツアー(女子の2部ツアー)で妹のクリスティーナが優勝したバエナだ。「だからこそ私の父は、いま天国にいるような気分よ」ということになる。

 女子マッチプレーで宮里藍がアメリカのマスコミから「日本では、あなたと松井秀喜とどちらが有名?」という質問を受けていたが、日本以上にヒーロー、ヒロインの少ない国で世界の頂点に立つようなプレーヤーが出現したら、どれほどの大騒ぎになるのか、想像に難くない。

 かつてパク・セリが、米女子ツアーを席巻したことがキッカケとなり、韓国でゴルフブームが起きた。好調な経済も相まって、日本にまでゴルファーが押し寄せるようになった。それを考えれば、コロンビアのバエナや韓国のバーディ・キムには、欧米人や日本人が考えてる以上に、自分の国を代表しているといった気概があることは、間違いないだろう。

 欧米以外からのゴルファーの代表選手は、なんといってもフィジー出身のV・シンだろう。彼を支えているのは、その練習の熱心さとハングリー精神だ。

「奨学金で大学に行って、大学卒業と同時にスポンサーが付いてプロに転向する米国のゴルファーたちとは、まったく異なっている」と、米国のゴルフ関係者たちは口を揃えるが、同じようなメンタリティはキャンベルにも、バエナにも通じるものがある。

 女子マッチプレーでは、スポンサーのロゴがまったく付いていない白いシャツに白い帽子でプレーしていたバエナ。1996年のアリゾナ大学時代に全米学生チャンピオンになり、同じ年、全米アマでも2位となった彼女は、過去3年間、スランプのどん底にいた。

 ゴルフをやめることも考えたとかで、「昨年6月、コーチを変えるという非常に難しい決心をし」、グリップからスウィングまで「ほとんどすべてを変えた」という。そのためオフシーズンも休まず練習を続け、その成果がようやくマッチプレーで実ったというのだ。

 全米オープン覇者のキャンベルにしても、全英オープンの優勝争いで名を馳せた95年からの数年間こそ調子が良かったが、その後は怪我や故障で大スランプが続いていた。ジョナサン・ヤーウッドというコーチについてスウィング改造をしながら、英国の予選会を勝ち上がり、今回の優勝をモノにした。

 ニュージーランド出身のプレーヤーがメジャーに勝ったのは、ボブ・チャールス以来、42年ぶりの出来事。これで一躍、母国のヒーローになったばかりか、ニュージーランドでゴルフブームが起こりそうな雰囲気だという。

 男女とも全米オープンはコースセッティングが厳しく、タフな試合だったが、そうしたタフな状況の中で勝つためには、技術プラスアルファのハングリーな精神や、メンタル面の強さが必要だ。そうした条件を兼ね備えているプレーヤーたちが米国、英国といった「ゴルフ先進国」以外の国から、いま確実に育ち始めている。

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