東京の臨海地区にある都所有の公営「若洲ゴルフリンクス」が、来年度から民間にも開放する「指定管理者制度」での運営に移行。現在、その公募を実施している。確かに人気コースだが、料金など様々な不満も聞かれる同ゴルフ場も、来春から様変わりすることなるのだろうか。
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指定管理制度を導入する若洲GL
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若洲ゴルフリンクスはこれまで、都の海上公園の管理を担当する財団法人・東京港埠頭公社が運営してきた。
しかし、公営ではユーザーの多様なニーズに的確に応え、かつ効率的な管理運営ができないとして、最近は「指定管理者制度」が全国的に導入され、自治体の施設運営が民間に委託されている。
ゴルフ場では清里ゴルフコースを含む、山梨県北杜市の総合レジャー施設「清里丘の公園」が昨年度、いち早く民間に移管。早速、効果を上げている。また、群馬県でも玉村ゴルフ場など県営の5コースで同制度を導入、現在公募中である。
だが、注目度からして今回の若洲GLは別格だ。何といっても都心に隣接し、平日プレーフィが約1万7000円(全キャディ制)にもかかわらず、年間5万8000人もの入場者数を誇る。ここの運営にあたれば、利益は当然、その実績をもとにさらなる事業進展が図れる。
実際、先月28日に行われた都港湾局の事前説明会には約40社、60人ほどが顔を揃えたという。出席した某関係者によれば、「外資系、ゼネコン系、不動産系、鉄道系など、やはり業界大手の多くが顔を出していました」と証言する。
今後は、事業計画や事業実績等の書面提出による公募を今月15日に締め切り。同書面による1次審査(8月下旬結果発表)を経て、年内に指定管理者が選定される。
「都に収める納付金等の条件にもよりますが、あのロケーションなら年間6万5000人の入場者は確保できますし、今は行っていない早朝・薄暮プレーを低料金で、といったサービスも考えられます」とゴルフ場関係者。
確かに、同ゴルフ場には料金以外にも殿様商売的な面が多々見られる。全キャディ制でセルフ営業は月3~4日。付帯のゴルフ練習場は夏季でも午後5時30分で閉鎖等々。それが民間委託で改善されるかも……。
ところが、説明会に参加した業者の間で「都は、始めから現在の東京港埠頭公社を指名するつもりではないか」との声が挙がっていると新聞が報じた。実は同公社も応募資格が認められており、申込みに参加する。
「応募者の自由な発想のプランを期待したいという理由で、これまでの営業実績が明らかにされないなど、都は多くの質問に答えてくれなかった。もちろん、公社はそのすべてを知っているわけで、民間にははなから大きなハンディ」という声も。
また、付帯施設にヨット訓練所があるのだが、これも新管理者が引き続き管理運営することになっている。これもそのノウハウを持たない民間には大いに不利な点だ。実際、先の新聞報道では、「公社有利の見方も」といった記述もある。
その点を担当の会場公園課に確認すると、「もちろんそんなことはありません。どうして、公社有利と報道されたのか分かりません」との答え。
しかし、これまでも黒字事業に関しては自治体の外郭団体が継続して運営する例は少なくない。もちろん、その団体は職員の天下り先となる。運営次第では都周辺のゴルファーの楽園にもなるゴルフ場だけに、来年のリニューアルを期待したい。
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