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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 8/16号
2005/8/13更新
たった「5円」の預託金証書が誕生
損益通算を考慮した都GCの更生案

 政府税調発表のサラリーマン大増税計画が、身内のはずの自民党内からも総スカンを食う中、会員が税務申告で損益通算が認められるように配慮した更生計画案が誕生した。

 その舞台は旧大洋緑化グループの都GC(山梨県)。昨年2月に会社更生手続きの開始を申し立てた大洋緑化グループ17社の再建案は、当初は中核企業の大洋緑化株式会社に残り16社を吸収合併させ、100パーセント減資を実施した後、スポンサーのローンスター・グループが資本を入れる、というものだった。

 債権の返済率は退会会員と一般債権者が1パーセントで計画認可決定確定から3カ月以内に一括払い、継続会員は3パーセントだが10年据え置きの新預託金証券発行となっていた。

 しかしこの再建案に異議を唱えたのが、山形GCと都GCの会員組織。今年4月20日に開かれた大洋緑化グループの関係人集会で、山形GCでは会員案と会社側案が提案されたが、双方とも可決要件を満たさず、会員側の計画案が出ていなかった都GCについては会社側案の否決という結果に。

 このため、この2コース関連の4社を除く13社についてのみ更生計画案が可決されたが、4社については決議が延期され、5月23日に改めて関係人集会が開催されることになっていた。

 山形GCでは、一足早い6月21日に、弁済条件は会社側の案とほとんど同じで、会員組織による中間法人がスポンサーとなる計画が可決に至ったが、注目すべきは、もう一つの都GCのケースだ。

 都GCでは会社側提案の計画を全面的に会員側の意見に寄せる形で変更計画案を作り直しているのだが、具体的な変更点は、(1)スポンサーがローンスターからチャーミング・リゾーツに変更(2)継続会員への弁済条件は10年据え置きで、確定元本の3パーセントの額面の新預託金証券発行となっていたが、1パーセントを3カ月以内に支払い、新券の据え置き期間を5年、額面を0.001パーセントに変更する、の2点。

 継続会員にとっての見かけの弁済率は3パーセントから1.001パーセントに下がるように見える。しかし1パーセントは退会しなくても、わずか3カ月後に受け取れるわけだが、最大のポイントは、額面の0.001パーセントの新券にある。

 都GCはこの計画案が7月26日に関係人集会で可決され、即日認可決定を受けているので、順当に行けば8月末には認可決定が確定することになる。

 都GCの発行済みの会員権は最低金額が50万円なので、額面の0.001パーセントの新券となると、その額面はわずか5円ということになる。一部3000万円の券面も出ているが、これでも新券の額面はわずか300円。

 こんな金額でも新券を発行するのは、損益通算を意識してのことだ。法人と違って個人の場合は、法的手続きをとったコースの会員権はそのままでは損金処理が出来ない。

 名義変更が再開され、市場で売却した際の金額と、当初の取得金額との差額は損益通算が出来るのだが、それも法人格が継続していて、かつ預託金が1円でも残っていないとダメ。営業譲渡の形をとっていれば法人格が継続していないので認められない。

 しかも損益通算の扱いについては、税務署ごとに判断がバラバラで、申告してから何年も経って「還付金を返せ」と言われるケースも出ている。

 今回の0.001パーセント額面の新券は、「会員からの要望で計画に盛り込まれたもの」(会員側代理人・秋廣道郎弁護士)で、損益通算の要件である「プレー権が継続していて、なおかつ1円でも預託金が引き継がれていること」を満たす。

 これまで、再生手続きにせよ更生手続きにせよ、後々の会員の損益通算にまで配慮するということは行われて来なかったわけだから、今回のケースは画期的と言える。

 もっとも、損益通算の廃止云々については、毎年浮かんでは消える懸案事項。現時点では損益通算は廃止されていないが、今後どうなるかは極めて流動的。追随する動きが続出するかどうかは、税制の行方次第ということになるだろう。

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