もっと飛ばしたいというシニア層を中心にリシャフトが、一部のマニアや上級者から一般ゴルファーへと広がりを見せている。これにともないニーズが高まっているのが中古シャフトだ。
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安く手に入れたい
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巷で人気の高性能シャフトとなれば実売価格で3万円から4万円台。ドライバーの売れ筋が5万円台ということを考えればかなり高価で、おいそれと手は出せない。
また、大型店に行けばほとんどのクラブを試打できるが、シャフトを試打できるのはごく一部で、しかも自分の使うヘッドで試すことはまず不可能。リシャフト初心者にとっては、かなりの冒険といっていい。
そこで注目されているのが、割安で手に入れられる中古シャフトだ。程度のよいもので新品価格の三分の一前後というのが中古シャフトのおおよその相場だ。
「初めはまず1本だけ中古で試してみて、よければ他のウッドも変えるという方法もおすすめ。新品1本と同じくらいの予算でウッド3本替えられます」というのは、中古シャフトを取り扱うゴルフクラフト大信プロダクトの福嶋安宏社長だ。
ドライバーには新品シャフトを使い、フェアウェイウッドは中古シャフトで間に合わせる人も多いそうだ。中には品薄の人気シャフトを早く手に入れたいがために、中古クラブを購入してヘッドは処分するという強者もいる。そんな人には型落ちのクラブがおすすめだ。
「中古クラブ市場では、お客様でシャフト交換されたクラブは改造品の扱いになるので相場は再下限。シャフトだけ欲しい人には掘り出し物です。例えば、少し前に人気があったテーラーメイドの300シリーズにスピーダーを入れた中古ドライバーは結構出回っていて、1万円ちょっと。単体でも2、3万円していたシャフトなので非常にお買い得といえるのでは」(フェスティバルゴルフ本店/角田英和氏)
一刻も早く手に入れたいという向きには手軽なインターネットの通販やオークションサイトを利用しての売買も活発だが、思わぬ落とし穴もある。
「うちはじっくり時間をかけて抜くが、下手な人が抜いたシャフトは使えない」(大信プロダクト/福嶋社長)
シャフトをヘッドから抜く際には、専用のヒートガンなどで熱を加えて接着剤を柔らかくするが、このとき熱を加えすぎるとカーボン繊維を接着しているエポキシ樹脂が劣化してしまう。そうなると、シャフト本来の性能を発揮できないばかりか最悪、シャフトが折れてしまう危険性もある。
接着面の汚いものはいうに及ばず、いずれにせよ内部の劣化までは完全に判別できないため、とくにネット上での取引などは注意が必要だ。
また、もう一つ見落としがちなのが長さ。通常のリシャフトの場合、先にシャフトを挿してから、長さを合わせてカットするが、中古シャフトの場合はすでにカットされているため後から長さを調整することは不可能。
「ヘッドによってホーゼルの深さが1インチほど違うため、挿してみないと分かりません。スルーボアだと2インチ近く違ってくる場合があります」(福嶋社長)
つまり45インチで使用していたシャフトが43インチになってしまう可能性もあるわけだ。こんな「想定外」の事態を防ぐためにも、とくに通販やオークションを利用する場合には、シャフト全長と接着用に塗装を剥離した部分の実測値を確認し、実際に自分のヘッドに挿した場合の長さを確認しておくべきだ。
そしてもう一つ注意すべき点は、先詰めの有無。リシャフトするのほどの人であれば、硬くするためにシャフト先端をカットしていても不思議ではない。ところが、これを見分けるのはプロでも難しい。
「1本だけ見ても判断がつきません。同じ種類のシャフトと並べてロゴの位置を見比べて初めてわかる」(福嶋社長)ということなので、通販やオークションでは、相手に確認すること。
返答を面倒がるような相手ならやめておいた方が無難だ。安物買いの銭失いにならぬよう、くれぐれもご注意を。
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