今週の全米プロが終われば、米ツアーは早くも終盤戦に突入することになる。これまでの動きを眺めていくと、男子はここ最近上り調子のタイガー・ウッズ、女子はアニカ・ソレンスタムを中心にツアーが動いてきた。
二人とも、メジャーを全て制するという「年間グランドスラム」こそ逃してしまったが、それが現実になりそうなほどに、今年の前半戦ツアーを席巻してきた。これからの後半戦を占うには、二人の好調が本物なのか、あるいは上り調子か下り調子を見据えることがポイントになるだろう。
タイガーは、今年のマスターズの直前「ちょうどスウィング改造が仕上がりつつあり、今は99年の春先のような感覚」と語っていた。スウィング改造を行い、99年の後半から2001年にかけての絶頂期と比較しての発言だ。
その言葉どおり、マスターズに優勝し、全米オープンで2位、全英オープンで再度の栄冠を勝ちとっているのだから、結果的にはタイガーが語る99年以来の成績を収めたことになる。
それだけに、第2黄金期がやってきているような印象を与えているが、その一方で、スウィング改造がまだ完全には仕上がっていない、という見方もあるのも確かだ。
数字でみると分かりやすいが、今年のタイガーの平均ストローク数は68.84。しかし2000年は、67.79で今年よりも1ストローク以上良く、まだまだ当時のピークには達していない。
もっとも昨年1年間の平均ストローク数が69.04だったことを考えれば、確実に良くなっている。
さらに問題となるティショットでも、平均飛距離を10.2ヤードも伸ばして312.1ヤードとしている上に、フェアウェイキープ率も昨年より1.1パーセントアップさせて57.2パーセントとしているのだから、スウィング改造の成果が出ていることは間違いがない。
要するに、先のビュイック・オープンの71-61-70-66というスコアが占めすように、V・シンに逃げ切られてしまった理由は、爆発力があり上り調子にもかかわらず、4日間のスコアに安定感が欠けていること。スウィング改造がまだ完全な仕上がりを見せていないようなのだ。
そうした中で、シーズンの後半戦に強いシンが、どこまでタイガーを追い上げるかが、注目されるだろう。
しかし年齢的にみれば、まだ29歳のタイガーに対して42歳のシン、36歳のグーセン、35歳のミケルソンとエルスと、ライバルたちもそろそろ峠を過ぎる年齢に達している。
「僕の本当のピークはこれから」と語るタイガーの言葉には、真実味があるといえるだろう。
これに対して、女子ツアーの場合は、若手の追い上げにさらされているのが、女王ソレンスタムだろう。
実力や安定度では、女子プロ界のトップにいることは間違いないが、全米女子オープンに優勝したバーディ・キムや、全英女子オープン優勝のジョン・ジャンのような20代前半の韓国勢に加え、ポーラ・クリーマー、ミッシェル・ウィといった10代のプレーヤーなど、若手の成長が著しい。
そうした中で、ソレンスタムは平均ストローク数をタイガーとは逆に、昨年の68.70から69.48へと落している。今年の10月に35歳になるソレンスタムの年齢を考えれば、プレーヤーとしてのピークにさしかかってきているという見方が大勢を占める。
今年前半戦の活躍だけを考えれば、プレーヤー・オブ・ザ・イヤーの行方は、タイガーとソレンスタムで決まりだろう。
しかし、後半戦で男子はタイガーがどこまでスウィングの完成度を上げられるのか、それに対して秋に強いシンをはじめとするビッグネームたちが、どこまで踏ん張るかが見ものとなる。
一方の女子は、力をつけてきた上り調子の若手たちと、若干調子を落としているソレンスタムの争いが、どこまでもつれるかで、試合が面白くなるだろう。
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