「生チタン」JPXがミズノにとっては起死回生のヒットとなり、また、ERCホット(キャロウェイ)やインプレスD(ヤマハ)、ゼクシオ(ダンロップ)など、ルール改正の逆風が吹き始めた中でも、高反発ドライバーが売れ続けている。
一部では高反発規制を前にした買い控えがあると噂されるほど、ドライバー全体の販売が落ち込んでいる中で、前出のJPXをはじめ、藤田寛之の活躍も後押しして好調をキープしているインプレスD、発売直後からランキング上位に顔を出したX-18(キャロウェイ)など、高反発を売り物にするモデルが健闘を見せている。
新空港や万博効果で元気のいい名古屋で、賑わいを見せる名古屋・松坂屋においても上半期の販売本数は、1位がJPX、2位ゼクシオ(高反発モデル)、3位以下、マジェスティ・プレステジオ(マルマン)、ナノブイ(ヨネックス)、ゼクシオプライム(ダンロップ)、ERCホット、TX-2(セイコーエスヤード)、エグゼライト(セイコーエスヤード)、Xドライブ(ブリヂストン)、グランドモナーク(ミズノ)とやはり高反発ドライバーが最上位を占める。
ちなみに、最終的にナノブイなどルール適合モデルを選ぶ人も、一部競技志向のゴルファーを除けば、他社の高反発ドライバーとも打ち比べた上で、実際に飛ぶから買うというケースが多いようだ。
その中でJPXが一番のヒットとなった理由をミズノでは「あれもこれもと盛り込まず、飛びに特化したことでお客様にわかりやすいアピールができたこと」(広報宣伝部/西田維作氏)と分析している。
また、ERCホット、X-18を立て続けに発売し、両方がヒットしているキャロウェイゴルフでも、
「反発係数を実測してみるとバラつきが多い市販クラブの中では、1、2位の高反発」(PRマネージャー/松尾俊介氏)を誇る飛びを強調している。
JPXやERCホットなどの人気振りは、いかにゴルファーが飛距離に飢えているかを証明している。
いわゆる高反発ドライバーが登場したのは1999年から2000年にかけて。当時、ミズノ300Sや、ERCには多くのプロも飛びついた。それから5年を経て、高反発ドライバーはいったいどれほどの進化を遂げたのだろう。
たとえば、高反発の元祖と思われている300Sだが、反発係数そのものは0.83ギリギリでルールの範囲内。それが年ごとに進化し、2005年モデルJPXでは0.870を越える究極ともいえる反発性能に行きついた。
飛距離は、理論上は反発係数だけで10ヤード以上もアップしたことになる。
素材の力も大きい。神戸製鋼、住友金属、大同特殊鋼、JFEといった大手金属メーカーが、より高強度なチタン合金を競って開発し、高反発ドライバーの進化を支えてきた。
チタン素材の多くは航空機など先端産業向けに開発されたものだが、ゴルフクラブは比較的新技術の転用がしやすく、加工技術の確立にもつながるため、こぞって先端素材を供給しているのだ。
見た目にも大きく変化したのはヘッドの大きさだ。ERCホット、X-18、r7XR、ナイキDFI、シナジーなど最新モデルは軒並み460ccギリギリまで大きくなった。
フェース面積の拡大にともない、反発係数をさらにアップさせることが可能となり、同時にスウィートエリアも拡がった。
また、見えない部分では、重心設計の進化が著しい。素材の軽量化とコンピュータ解析技術の進化により、打ち出し角やスピン量が自在にコントロールできるようになった。その最たるものがコンポジットドライバーだろう。
2006年には各社のルール適合ドライバーが出揃うと噂されているが、高反発ドライバーもまだまだ主役の座を譲る気配はない。
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